恋愛-5
お花見から帰宅した後、私は食事や洗濯、等、最低限の家事をする以外は寝室に引きこもり、翌水曜のパートも嘘をついて病欠した。
高杉からのメールはもう20通を超えた。
"会って欲しい
話をさせて欲しい"
・・・・・・
メールを受信する度に、「ごめんなさい」と謝り続けた。
ずっと悩み続けた私は疲れ果て、目覚めると木曜の早朝だった。
頭の中が凄くすっきりしていて、一つの結論が頭にあった。
『悩むのはもうやめよう!行動しよう!』
いつも子供たちに言っていた言葉だった。
『私も行動しなきゃね。後悔はそれからよ』
私はすぐにiPhoneを取り、高杉にメールした。
"おはようございます。
ご心配お掛けしました。
もう大丈夫です。
時間がある時にまたメール下さい。
直接会って伝えたいことがあります"
暫くして高杉から返信が届いた。
"おはようございます!!
今日だったら11時くらいからなら時間がありますが、空いてますか?"
私は返事を返し、まずはシャワーを浴びるために浴室に向かった。
家族の朝食を準備し、溜まっていた家事を片付けた後、私は敢えてファンデーションのみの化粧をして、メガネをかけて待ち合わせ場所に向かった。
わざと、すっぴんを高杉に見せてどう反応するか見るために…。
駐車場には既にマークXが停まっていた。
私が乗り込むといつものように高杉が笑顔を向けた。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
挨拶を交わすと、高杉は車を出し、志賀島に向かった。
誰もいない浜辺の駐車場に停めた高杉は話し始めた。
「美紀とはもう何でもないんだ。
信じて欲しい」
「…はい」
「それに僕は亜沙美さんのことが本当に好きで大切にしたいんだ」
「…はい」
それからも高杉の愛のささやきは続き、私はただ、「…はい」と答えるだけだった。
「この歳になって、家族もいるし、色々前後しちゃったけど…
亜沙美さんのことが好きです。
こんなこと言うのも変だけど…
付き合って下さい」
「…はい」
「はいって?」
「いいの?お化粧しなかったらこんなにおばさんだよ」
「今日が一番綺麗だよ」
「本当?」
「本当だよ」
「…」
言い返そうとした私の唇は高杉の唇に塞がれた。
この前の続きのように高杉は舌を入れ、私も舌を絡ませた。
暫く舌を絡ませていると高杉の右手が私の乳房を愛撫し始めた。
今日は付き返すこともなかった。
私は目を閉じて、キスを楽しみ、高杉の愛撫に翻弄された。
高杉の手がブラウスのボタンを外そうとしたので、私は彼を突き返した。
しかし、その後に出た今日の言葉は、この前の言葉とは違った。
「ここじゃ嫌…」
高杉は車を出し、幹線道路に戻り、近くのラブホテルに車を入れた。
俯き高杉に寄り添いながら歩き、私たちは部屋に入った。
ガチャっと鍵がかかる音がして、私はもう戻れないことを知った。
『迷わず、行動よね…』