痛みと悦び-7
「だったらっ何でぇ?!」
歪む視界の中でリョウツゥが動き、ジルの鎖骨辺りにキスしてきた。
「ジルさんが痛いの、嫌です。でも、痛いの止められないし、ジルさん、直ぐ治っちゃうし……」
肌の間近で喋られ、ジルはゾワゾワと背筋を震わす。
「だから、痛かったら、気持ち良くしてあげます」
「はあっ?!」
「お仕事で、痛いのが仕方ないのなら、痛いの我慢して頑張ったら、その分、ご褒美、あげます。身体は、差し上げられませんが、その……他は、ちょっと、自信あるんです」
「おまっ」
何でそんな事をリョウツゥがしなくてはいけないのか?という気持ちと、清純そうなリョウツゥの『自信ある』『何か』にも興味をそそられ、ジルはパクパクと口を開け閉めした。
「ご迷惑なのは、分かってます」
誘っておいて挿入は無し、なんて他民からしたらあまりにも自分勝手な言い分だが、それでも。
「でも……お願いです。今回だけで良いので、痛いの、忘れて下さい」
囁いたリョウツゥは懇願するようにジルの胸に額をつける。
「……俺が理性ぶっ飛ばして挿れたらどうすんだよ……」
「その時は、自分が選んでした事の結果なので、仕方ない、です。でも」
「でも?」
「本当に、自信……あるんです」
いつもおどおどしてるくせに、変な所で妙な自信を持っているリョウツゥに、ジルはついに吹き出した。
「くくっ、じゃあ、お手並み拝見、だな」
「じゃあ」
お許しが出て顔を輝かしたリョウツゥの口をジルは人差し指で押さえる。
「但し、条件がある」
「?」
キョトンと首を傾げたリョウツゥの腰を、ジルはグイッと引き寄せた。
「お前も気持ち良くなる事」
そして、そのまま唇を合わせた。
「ん、んぅ」
驚いて一瞬身体を固くしたリョウツゥだったが、すぐに身を委ねてキスに応える。
ジルの舌は幅広で柔らかく、リョウツゥの口内を隅々まで犯していった。
バインとは全然違う口付けに、戸惑いながらも必死についていく。
「ふ、はぁ」
やっと唇が離れた頃にはリョウツゥはぐずぐずに崩れてしまった。
「なるほど、キスは良いワケね」
そう言ったジルはびしょ濡れになったリョウツゥの服を脱がしにかかる。