絶望のKISS-1
「はぁー。」
好きですっ!出会った頃から……。
昨日、水族館で彼女が俺に言い放った言葉。あれ以来彼女のあの必死な表情が頭から離れられないでいた。
「やっほーーっ!」
「!?っ。」
背後から突然それも思いっきり強く肩を叩かれ、激しくビクつく。
「な、な、な、れ、蓮っ!脅かすなよ。」
「どーしたのー?暗い顔しちゃってぇー。」
相も変わらず平和そうにニコニコとする親友の蓮。だがコイツは俺の幼馴染としてお互い色々と打ち明け合っている、だから水族館の件も話してみる事に。
「へぇー、そっかぁー。」
「俺が他に付き合っている奴が居るっつったら彼女…泣き出しちゃって。」
人が深刻に相談してるのに妙に抜けた返答、今でもダチとして付き合えてるのが疑問に思う…。
「あーあぁ、それでぇ?昨日からその事を気にして、夜も眠れないのかな?」
「そうだよ、悪いか!…ホントどうしたら良いんだ?俺。」
「…まぁ君が彼女を傷つけた事は紛れもない事実だからな。」
「うっ…。」
自分から言いだしたとはいえ、何かグサリとくる。
「やっぱ…謝った方が良いか?」
「馬鹿だなぁー、そんな事してどうなるのさ。」
「いや、だって俺のせいで…。」
「…もしさ、もしお休みの日に僕と君が駅で待ち合わせをしたのに、僕が急に来れなくなったら?」
「そりゃーキレる。」
「理由が寝坊したとか忘れたとかではなく急にバイトが入った…でも?。」
「それは…。」
「柊さんを傷つけたくないからって例の告白に首を縦に振るつもりかい?…それはそれで余計に彼女を傷つけるだけだよ。」
「……。」
目から鱗…、確かに今更仕方がない事を後から謝られても本人は良い気はしないだろう。
「ありがとうな、気付かせてくれて。」
「まぁ謝りたくなる気持ちも判らないではないけどね。」
「……。」
謝るのは駄目。でも、彼女が傷ついているのは紛れもない事実。
「巴から聞いたけど、柊さん…あの後巴の家で大泣きしたみたいだよ。」
「!!」
追い打ちを…。やっぱり謝ろうか、という衝動に、でも。
「彼女、怒ってるだろうな。」
「そうだねー、なんせフッたからねぇー。」
不安がさっきより増し、表情も沈みに沈む。すると…。
「おっはよぉー!」
「あっ巴…やっほー。」
やっほーしか言えんのかコイツは。元気に手を振る巴の横に彼女は居た。
「あたるもおっはー!」
「あ、あぁー。」
「何よー、元気ないわねぇー。」
「ふふ、この子ちょっとねぇー。」
「わーわーっ!」
無神経つーか天然。言葉を慌てて遮り、無我夢中で。
「えっ!?」
柊さんの腕を掴み、人気のない場所へ連れ込む。
「あっ、ちょっと。」
「やれやれ…。」