絶望のKISS-8
こんな事をして、彼女も黙ってはいなく。学校帰りに彼を誘い共に映画館へ。
「うひょー、彼氏の取り合い、いや奪い合い!マジリアル。」
「もうー、巴ちゃんってばぁー。」
私達は二人の後を追い、見つからないよう陰で隠れて、様子を見張り。
「全く、あたるってば見境ないんだから。」
「いやー、別にただ誘われただけだし。」
昼間と変わらない光景、2人は確かに恋人。
「だからこそ奪うのよ、彼がアンタの事で気持ちが揺れている隙に。」
「悪だねぇ、巴ちゃんも。」
「話の間に入って来るアンタに言われたかないわ。」
それはそうとこれからどうすれば良い?気になってついてきたは良いけど…。
「また割って入れば?得意でしょ?そういうの。」
「誤解を生むような言い方しないで!」
つけて来たんだからそれは意味がないのでは。
「映画館でのホットドックも斬新だな。」
「で?どの映画を観る?」
「はぁ?決めてないのかよっ!」
自分から行動に移して置いて、何だか気分が悪い。
それと、妙な胸騒ぎがする…。
「あら?頬っぺたにマスタードがついてるよ。」
「マジで?!」
「あっ、待って。」
「!!」
その瞬間、時が止まった…。
頬についたマスタードを取ろうとした彼を制止し、彼女が代わりにとってあげる。ただハンカチではなく、彼女自身の唇で…。
彼は何が起きたか理解が出来なく目を見開き、そして私は私自身の中で激しく音を立てて
何かが崩れ落ち……。
「あ……あ。」
「若葉…。」
私は、どうして良いのか判らず、頭がパニックに陥り、その場を勢いよく立ち去った。
「若葉っ!」
この時、私達は気付かなかった…。
私達の尾行に彼女が最初から気付いていた事。
そしてそれを逆手に取り、強引なキスをした事実を…。
第7話に続く。