時々…純情-2
〜時々…純情〜5-2
本当に年下なのか…と恐怖さえ感じる。
その笑みに顔が赤く染まったのではないかと、焦るよう足を踏み入れたのだ。
「きゃっ!!まだ靴脱いでないってば!」
杏子のカバンは投げられるよう床へ落ち、身体は宙に浮いた。
一瞬、目を合わせ無言のままズカズカと部屋の奥へ入る龍崎。
お姫様抱っこをされ、とっさに首へ抱きついたしまった手を引っ込めることも出来ず、顔を伏せる杏子。
「重いから降ろして…?」
「俺そんなひ弱に見える?」
龍崎は小さく鼻で笑いベッドへ降ろすと、足元へ跪き、ハイヒールを脱がせた。
「そうゆう意味じゃなくてっ…。
んっ…っ…。ま……。」
「待たないよ。」
「でもシャワー…。」
「いんだよ。匂いと味に興奮するから…。」
あまりにも動物的で卑猥な台詞。
発する言葉を見透かされるよう、先に制され、瞼を閉じる時間さえも与えぬキス…
「…んっ…はぁっ…。」
貪るよう舌を絡めながら、スーツを器用に脱ぐ姿が視界に入る…
最上級の色気と視線と光景。
本気の龍崎…
甘く溶かされるよう瞼を閉じる。
…れろ…れろれろ…
卑猥なキスに、反応する身体。
…ゾク…ゾクゾク…
(…気持ちいい。)
音を立てていた口の中から、いやらしく舌が出ていく。
「龍崎くん、好き。」
「名前…啓だよ、杏子。」
首筋へ顔を埋め強く抱きしめ、2つの身体はゆっくりと傾いた。
無我夢中に…
舌を貪り合い乱れるシーツ。
頬に触れる大きい手に細い手を重ね、見つめ合うと、そのまま力強く抱きしめながら横へ並んだ。
「少しこのまま安心させて…。」
杏子を噛み締めるよう抱き寄せる。
「……。」
(…えぇ?)
ゆっくりと顔を上げると、2度目の龍崎の寝顔に思わず、声を出し笑いそうになる杏子。
抱き寄せる手は緩まず、静かな寝息。
(…何が覚悟してくださいよ?だよ。)
お預けされたのは、まるで杏子の方である。
その寝顔にきゅんと愛しさを覚え、中途半端に乱れた服も気にせず、龍崎の香水の匂いと温もりに包まれ、眠りに落ちたのであった。
〜To be continued〜