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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 3.-2

「あ、俺がやるから、いいよ」
 直樹が止めたが、そう言ったくせに腰を上げて片付けようとする様子はない。代わりに上目遣いに有紗を窺った末に、「……今日、早く帰るの?」
 座椅子から腰を上げて膝立ちになっていた有紗は、もう一度座った。言ったはずだ。
「うん。あんまり遅いとさ、彼氏に疑われるから」
「そっか。……そうだよね」
 有紗に座椅子を譲っているから、フローリングに胡座をかいていた直樹は、テーブルの上の皿を見つめて黙った。物思いの直樹の横顔を眺める。笑った顔は爽やかだし、真摯な顔は整っている。だが物憂げな表情も有紗の胸を疼かせて、コレが年下男の可愛さってヤツでしょ?、と自分を誑かしながら、
「ね、直樹」
 と呼びかけた。
「ん?」
 上げた彼の顔は、どうやらまた、余計なことを色々考えているように見えた。
「セフレなんだからさ、したいなら、しよう、ってちゃんと誘ってよ」
 有紗は殊更に腕時計を見る仕草を向け、「もう一時間もない。……私、帰っちゃうよ?」
「……だって」
「だって、って何?」
 笑み顔で呆れてみせ、有紗は食器はそのままに両手をテーブルについて、ぴょんと跳ねるように立つと、ベッドへ腰掛けた。
「したくないの?」
「そんなの……、食べてすぐ、とかさ、なんか。そういうのって……」
「あー、もうっ!」
 有紗が自分の隣のシーツを、ぼん、と叩く。「……私は直樹としたいの。そのために今日来たんだもん。ちゃんと、直樹が好きかなー、って思う可愛い服選んで着てきて、化粧もガッツリ直して待ってたんですが?」
 すると直樹は俯き加減に隣にやってきた。恐る恐るに見える。何に恐れているんだと短く嘆息して有紗の方から座り直して距離を詰めてやった。
「ねぇ、エッチしようよ。私、したい」
「……」
「直樹はしたくないの?」
「……。……したい」
 昨日淡色にネイルを整えておいた爪を彼のシャツの上から立て胸板を軽くなぞると、彼の体が微細に震えた。睫毛で半分隠した潤んだ瞳で、
「……直樹も、ちゃんと誘って。このままじゃ、私ばっかヤリたがってるエロ女ってことになっちゃう」
 と覗きこむ。
「……あ、有紗さん」
 直樹は不埒な欲情が漏れてしまうことに怯え、慌てて息を吸い込み、「さ、させて……。……あっ、いや、そうじゃなく。……あ、有紗さんとしたい」
 言い直すなんて愛らしく答えられて、有紗は直樹に横抱きにしがみつくと、キッチンでよりも深く唇を合わせた。直樹が忙しなく腰の後ろまで両手を回し、ベッドの上に押し倒してくる。有紗は真下から首に手を回し、
「……したいんだ?」
 と透く胸から漏れる笑顔で直樹を見上げた。
「そ、そんな、何度も訊かないでよ」
「赤くなってて面白いの」有紗は直樹の鼻先を軽く噛んでから、「したいなら、早く脱がして。服、シワんなっちゃう」
 組み敷かれた有紗は直樹に唇を何度もはまれながら、妖美な視線を射し向けて直樹のジッパーを下ろしていく。開いた窓から顔を覗かせたボクサーブリーフの膨らみがしっとりと粘液にヌメっていた。
「それとも、着せたままヤルほうが好き? ……神田では脱がせてくれたけど、こないだは玄関でメチャクチャにしたもんね?」
 粘液が湧出している源泉を、布地越しにネイルの先で擽ってやると直樹の腰がビクンと跳ねて端正な顔が崩れた。大洗から帰った日は、ずっと二の腕から離れなかった有紗と二人きりになるや否や唇を貪り、パンプスを脱がせることもなく廊下に押し倒し、スカートを捲り上げトロトロに潤っていた有紗の中へ男茎を押し込んでくれた。幾度となく噴き上げる直樹の熱い精液を、体の奥に浴びて有紗も都度絶頂を迎えていた。玄関先の硬い床の上で乱暴に扱われても、何度も交わられても、襲われた、姦されたなどという感慨は皆無だった。恐ろしく気持ちよかった。
「……ご、ごめん。この前は……」
「いいの、別に」
 有紗がブリーフの上から亀頭を握ると、小さく直樹が呻きを上げ、湧口から熱い粘液が染みてくる。「……セフレだもん。直樹の好きなようにしてくれていい」
「そ、そんなの……」
「……今日は、どうしたい?」
 ゆっくりとした圧を加えながら軽く扱くと、直樹の体が震えて前染みがどんどん広がっていった。直樹のそんな愛おしい表情を直上に見せられて、有紗も脚の間の雫が抑えられなかった。直樹が震える手でブラウスのボタンを外してくる。ブリーフの尖りを指で挟み、先端を軽く爪の先で引っ掻いて邪魔をしてやると、震える腰と時間の無さに焦る直樹は、ブラウスを開いても袖から抜き取ることなくキャミソールの中に手を入れて背中を摩り、覆いかぶさって首筋に唇を這わせてきた。
「んっ……。……キ、キスマークは絶対ダメだよ?」
「う、うん……、有紗さん……、ゆ、指、離して……」
 膝をついて跨いだ姿で股間をイジられて、腰がビクビクと動いてしまうのが格好悪くて恥ずかしいらしい。
「……なんで?」
「だ、だって……」
「ゆび、きもちい?」
「……だ、だから、そ、そんなふうにされたら」


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