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闘犬
【その他 官能小説】

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試行錯誤-1

しかし、神は滅多に悪戯はしない

一秋の高校生活は十分満たされていた、ただ異性に対する感情だけが菜穂子から離れられなかった。
3年の夏休みが終わる頃、ついに一秋は行動を起こす。模試の成績は問題なく、隣の宮坂周二郎にもアドバイスを貰って大学受験の準備も整ったし、好きな運動をして体力もつけた。誰が見ても立派で理想的な高校生になった。

一秋は白石家の呼び鈴を押す。
「はーい。どなた?」菜穂子の声。
「一秋です、こんにちは。」
「あー、かずちゃん。どうしたの?」菜穂子は玄関を開けた。
「おばさん、こんにちは。おじさんは居ますか?」一秋は胸の鼓動を必死に抑えた。
「なに?おじさんならもうじき帰って来ると思うけど、上がる?」久しぶりに菜穂子の笑顔を間近で見た。顔のシワが少し増えた様に思えた。
「いいですか、じゃ、お邪魔します。」一秋は家に上がる。
「どうしたの?」
「高校の文化祭でビデオを撮りたくて、おじさんのビデオカメラをお借り出来ないかと思って、相談しようと・・・。」
「へー、楽しそうね文化祭。きっと大丈夫じゃないかしら、ダメだったらこの前新しいカメラ買ってたから、古いの借りればいいんじゃない?」ソファーに菜穂子は向き合って座った。
しばらく世間話をしていると旦那が帰って来た。
「おじさん、お邪魔しています。」
「かずちゃん、どうした?」咥え煙草を慌てて消しながら旦那はソファーに座った。
「かずちゃん学校の文化祭であなたのビデオカメラ借りたいんだって、大丈夫よね?なんだったら古いのでもいいじゃない?」菜穂子は一秋の代わりに旦那に聞いた。
「いいよ。最新のカメラ貸してあげるよ。使うといい。」旦那は気前良く答えた。
「いや、もし壊しちゃったりしたら、いや、大切にしますけど、万一なにかあったらいけないので、古いのをお借りしたいのですけど・・・。」一秋には悪い魂胆があった。
「そう、いいよ。この前まで使ってたから、ちゃんと映るよ。」そう言って旦那はカメラを取りにいった。

「これね、テープはどうする?買うのか?」旦那はカメラと数本のテープを持って来た。
「ありがとございます。テープは自分で買います。」一秋は嬉しかった。第一の目的に到達した。

白石にビデオの取り扱いを説明され、試し撮りをする。モデルは菜穂子になった。

「かずちゃん、撮ってごらん。」旦那が一秋にカメラを渡す。一秋は手が震えない様に深呼吸をした。

「おばさんいいですか?笑ってください。」ファインダーに菜穂子が映される。菜穂子のセックスシーンと重なる。一秋はレンズをアップさせた。
「おばさん、綺麗です。」つい言葉が出てしまった。

「おいおい、かずちゃんは、こんな年増のおばさんに随分お世辞がじょうずだな・・・。」旦那は笑った。菜穂子もニッコリした。

三人はカメラを片付けながら世間話をした。

「千広君は野球で都大会に出るんだって?」旦那が聞いた。
「はい、あいつは毎日頑張ってるから成績が出ますよ。」一秋は千広を認めている。大切な弟だった。
「チーちゃん、この前言ってたけど、お兄ちゃんが野球やってたら僕よりずっと凄いって、センスの固まりみたいな人なんだって、かずちゃんの事褒めてたわよ。」菜穂子は微笑ましく言った。
「かずちゃんは進路決まったのかい?」ビデオテープをごそごそと整理しながら旦那が聞く。
「一応、宮坂さんにも随分相談させてもらって、京都か東北の大学を考えてます。」
「そりゃまた遠いーねー。」
「かずちゃんて少し変わってるところあるのよねー。」菜穂子は薄ら笑いをした。
「そんなー、普通ですよ。」
「まあ、俺みたいに変人にならなければいいさ。俺は犬小屋で生きてるみたいな人間だから・・・、そういや、宮坂さんちの娘さん結婚決まったってねー。」旦那が言う。
「そうそう、初枝ちゃん美人だし、いい子だからいいお嫁さんになるわよ。かずちゃんもいつも一緒に遊んでたじゃない。」菜穂子は横目で一秋を見た。
「初枝さん、千葉の津田沼に行くらしい。」一秋は少し寂しげだった。
「それもまた、津田沼って船橋の先か〜?随分と田舎だなー。」
「なんだか、宮坂先生の話しでは、とっても栄える地域になるらしいのよ。」菜穂子が答える。
「森田のじいさんが死んで向かいも分譲されちゃったし、なんだか皆んな歳とっていなくなっちゃうな〜。」旦那は妙に寂しげだった。
「大丈夫よ。分譲住宅にだって引っ越して来る人いるでしょ!」菜穂子は励ます様に言った。

どのタイミングであったか、一秋は帰る事を告げると、お小遣いでテープを買うのは大変だろうと白石は練習用のテープをくれた。一秋の狙い通りになった。本当は撮影済みのテープが欲しかったのである。

一秋が帰った後も白石夫婦の会話も続いた。

「かずちゃん男らしくなったな。」
「そうね、しっかりしたわねー。」菜穂子は旦那に寄り添った。
「若さはいいなー、ホント、羨ましい。」
「大丈夫よ。あなたも若くなれるから。」菜穂子は旦那の悩みを良く解っていた。
「なに。俺は気にしてないさ。ただ・・・な。」旦那の言葉に力は無かった。

「ねえ、あなた。あなたにも、かずちゃんみたいな年頃あったんでしょ?聞かせて。」菜穂子はテンションを上げた。
「おいおい、どうしたんだよ?」
「初めての女性ってどんな人だったの?」
「なんだよ?聞いてどうすんだよ?」
「年下?年上?綺麗な人?」
「なんだよ?」
「いいから。教えて?」



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