勘弁してよ-2
そして、待ちに待った時間。
瑠璃を寝かし付けて、リビングに入ってきた里枝は、静かに俺の隣に座る。
いつものフルーティーな香りが鼻をくすぐる。
照れ隠しなのか、そそくさとリモコンに伸ばす手をグッと掴むと、里枝が小さく息を呑んだ。
「輝くん……」
「今日も昨日みたいなエッチなこと、しようか」
ニッと笑って、彼女の頬を撫でた俺は、そのままクローゼットに歩いていき、目的の物を取り出そうとした……が。
「あれ、ない」
普段はクローゼットに備え付けの小さな棚に、カメラとかハンディカムをしまっておくのに、そこにあるはずのそれがない。
昨夜、ちゃんとしまったのに……。
「里枝、昨日使ったハンディカムは……」
振り返りながらそう問うたが、言い終わらないうちに彼女の手には目的のそれがあったので、ゆっくり近付く。
そんな俺をジッと見つめるのは、何か言いたげな戸惑い顔。
てっきり今日も、昨日のようなことをしてほしいと思っていた俺は、
「あんな恥ずかしいことして欲しくて、待ちきれなかったか」
なんて、再び彼女の隣に戻り、肩を抱く。
「…………」
黙り込むのは自分から淫らになれないもどかしさからだって、思っていた。
ならば、気持ちを盛り上げてやる。
「なあ、昨日の里枝の恥ずかしい映像観ようか」
俺もまだ観てはいないけど、さぞエロい姿が収められているだろう。
そんな興味と、これから始まる濃密な時間への期待を胸に秘めつつ、里枝の持ってるハンディカムに手を伸ばした……が。