勇気と劣等感-5
晴れ晴れとした登校道、同じ制服を着たクラスメートが学校へ足を運ばせる中。
「おはよー!」
「あっ、おはよー。」
元気良く巴ちゃんに声を掛ける佐伯君。
「あっ、柊さんもおはよー!」
「お早う御座います!」
緊張のあまり敬語で話してしまった。
「それと昨日貸してくれたハンカチ、はい。」
「う…うん。」
使用前の綺麗な状態になっている、ちゃんと洗って返してくれた、ふふっ紳士だね。いつもと違う香りがする。
「サンキュー!」
「!!」
太陽に照らされ、彼の眩い笑顔が目に映る。
そして力一杯走り去る彼の背中をボーと眺める私。
「いたっ!」
「なーに顔赤くなってんだよー!この幸せ者、このっこのっ!」
「んもぅー、巴ちゃんってばぁー。」
手加減というものを知らない彼女。
この調子でどんどん行こうっ!
そう、勢いづいていたのだが……。