ナディーカ語り(5)-1
わたしは、あの男を召還した。あの男がこの世界で目覚めて初めて見たのは、転送装置の内部を除けば、おそらくわたしのこの顔のはずだ。ぼうっとした、あの
そしてわたしは、自らを教育係のようにして、彼にいろいろ教え込んだ。最初は、言葉からして通じなかった。すぐに言語変換装置にかけ、ある程度は通じるさせるようにした。細かい表現や言い回し等は時々ずれたが、その後も何度か装置にかけ、支障をなくした。
あの男は、自分の立場を飲み込むとすぐに、わたしのリリィの調教にとりかかった。
「――こいつはまた、なかなか名器だな‥‥」
わたしは、彼の関心を引こうと、小出しに、しかし着実に情報を与えていった。
「その娘にはね、実はお姉さんがいるのよ。もっとおっぱいが大きい、ね」
「ほう‥‥」
それを聞いたとき、あいつの目は、キラリと光った。わたしは、うまくいきそうだという思いと、
(最終的には、わたしが独占するわよ‥‥)
という思いに捉われていた。
(わたしの想い人だもの‥‥)
そう、わたしは、あのルリア・ミアヘレナを、長いこと想っていた。情報省を含む様々なルートから入手した彼女の画像・映像の類を収集し、ひそかに眺めては喜んでいた。そのために内務省に配慮しさえした。そのなかには、もちろん、一部だが彼女の裸が映ったものもあった。スガーニーの、ナディーカの、情報収集力を、舐めてもらっては困るというもの。
ジェニーに騎士甲冑を着せて写真を撮らせたのは、わたしのアイデアだ。というより、騎士甲冑の発案自体、最初にアイデアを出したのはわたしだ。製作は、ジェニーを介さず、わたしが直接、ザヴォーズに作らせた。機械装置等は付いていないが、造形には力を入れており、そうしたほうがいいと思ったのだ。一から作り上げたことを考えれば、おそらくあの調教士のオーダー品よりも、資金と手間がかかっているのではないだろうか。しかし――‥‥。
(ジェニーは、なんであんなに鈍いんだろう‥‥)
わたしには理解できないことだったが、あの調教士が、あの鈍さにこそ、
「そそられる」
などと言っていたのは、ますます理解できないことだった。あの調教士は、ジェニーをも狙っていた。あいつをこの世界から消したのは、もしかしたら、わたしは彼女をも独占したいとも思っていて、その無意識もあるのだろうか。それはわからない‥‥。そして、あれはまだ、プロトタイプにすぎない。ジェニーに着せたのは、試験的な意味合いも強いのだ。
(羞恥甲冑――わたしがあれを本当に着せたいのは、オイオから来た、あの人‥‥)
後半開始十五分前を告げるアナウンスが流れた。
(わたしはナディーカ。スガーニーの翡翠――)
わたしたち三人は玉繭の間に戻り、そして再び、それぞれの相手の元に戻った。
(貧乳――。それが悩み‥‥)
オイオの女たちには、Y−6ドリンクを飲ませた。強力な催淫効果の、飲み薬式の媚薬である。
効き目は、約三時間。いま使えば、
そしてわたしは、前進室を使うことにした。この前進室というのは、幾つかの調教器具と同じくザヴォーズ製で、部屋というよりはそれじたい大型の器具というべき代物で、正しくは「第八調教室」といった。この第八調教室へ、三人の女を連れて行った。わたしたちが召還したあの調教士のオーダーで作られた