『京助』-2
京助は舌先で、私の体を丹念に舐め回しながら……私の左手のリストバンドに、手を伸ばす……
『あっ、これはダメ……』
指先を払い除けようとしたが……時すでに遅く……リストバンドは、ベットの下に落ちていた……
「どおしたの?……この傷……」
京助は、驚いた顔をして、私を見つめていた……
『リスカ……』
「リスカ?」
『リストカット……自分で自分の手首を切るの……』
「痛くない?」
『…………』
「俺、頭悪いから、よく分かんないけど……痛いの嫌だなぁ……」
そお言うと……京助は又、顔を私の胸に埋め込み……私の乳房に舌先を這わせながら……私のレモン色のパンティーを脱がせた……
……えっ?……この人……しつこく聞いたり……止めろとか……言わないの?……傷を見た、大概の人は……そおなのに……
『あっ、あの……何でとか……止めろよとか……言わないの?』
産まれたままの姿になった私が……指先で、私の花びらを弄び始めた京助に問い掛ける……
「俺、頭悪いから……聞いて欲しければ聞くけど……」
『…………』
……今日初めて会った京助の肉棒が……私の奥深くに埋め込まれていた……私の愛液の染みだした肉襞の中で、ゆっくりと蠢く京助……
……別に、男を漁りに街に出掛けてきた訳じゃないのに……別に、好みのタイプじゃないのに……
京助を受け入れながら……京助を愛しく想っている私がいた……
京助は、まるで長い間付き合っている恋人同士の様に……私を優しく包み込み……性感帯を知り尽くしているかの様に……的確に、私を突き上げる……
『ああん……京助っ……凄いっ……あああん……』
私は、京助の背中に爪先を立て、キツク抱き締めていた……喜悦の声が止まらない……
『あううぐっ……あはっ……あああーん……』
頂点に近付くにつれ……くよくよ思い苦しみ、悶々とした日々が……どおでも良い事の様に感じられていた……
『あううっ……ダメっ……イッちゃう……』
「俺も……イキそお……」
京助の腰が激しく動き……私の肉襞も、ビクビクッと痙攣を繰り返していた……ソーダ色のコンドーム越しに、肉棒が不規則に脈を打ち、精液を吐き出しているのが感じ取れた……
「俺、頭悪いからさ……カオルちゃんと仲良くなりたいなって思ったから、声掛けて……カオルちゃんとヤリたいなって思ったから、ホテルに連れ込んで……」
情事の後……私に腕枕をしながら語り掛ける京助……
「俺、カオルちゃんを大切にしたいなって……カオルちゃん……俺の彼女になってくんない?……」
『京助は順番が、メチャクチャだね……』
「俺、頭悪いからさ……」
私は、返事をする代わりに……京助の左の頬にキスをした……
好みのタイプじゃないけれど……京助に抱かれている時、迷い込んだ迷路の中で、一筋の光が見えたような気がした……
私も、京助の様にもっと単純に考えれば、良いのかな?……
多分、京助と一緒なら……答えが見つかるかもね……
好みのタイプじゃないけれど……私は、京助が大好き……
『ねぇ、京助……』
話し掛けると……京助は、笑みを浮かべながら、スースーと寝息を立てていた……
京助は、頭が悪いから……眠いから、寝ちゃったんでしょ……
私の顔にも、少し笑みが浮かんでいた……
……おわり……