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『同窓会』
【女性向け 官能小説】

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『同窓会』-1

『それじゃあ、お母さん……お願いします。』

不安気な眼差しで見つめる和也に、小刻みに手を振る彩……

バッチリメイクを決めて、お洒落をして……こうして一人で出掛けるなんて久しぶりの事……

学生時代通い慣れた道を歩きながら、彩は嵐のように過ぎ去っていった日々を振り返っていた……
卒業・結婚・妊娠・出産……一日に、何時間あっても足りない多忙な毎日……全力疾走でマラソンを駆け抜ける様な……気が付けば、高校を卒業して二年の月日が過ぎていた……そして今日は、初めての同窓会……

……みんな、変わっちゃってるのかなぁ……

二年ぶりの再会に、期待と不安を交差させながら……彩の足は同窓会の会場に向かっていた……


高校の最寄りの駅前にある和食の店が、同窓会の会場だった……煤けた引き戸を開くと、すでに多くの同級生達が集まっているのか、女店主が笑顔で奥の座敷に案内してくれた……

ドキドキと胸を高鳴らせながら、戸襖を開けると……懐かしい級友達が彩を笑顔で迎えてくれた……

『うわーっ、彩だぁ……久しぶり!』

『結婚したんだって……』

『赤ちゃんいるんだよねぇ……いいなぁ、羨ましいなぁ……』

矢継ぎ早に質問が浴びせられる……未だ学生や、社会人である旧友達にとって、彩は羨望の的であった……

……毎日繰り返される家事や、夜中の授乳……自分の時間なんて無いし……私に言わせれば、みんなの方がよっぽど羨ましいんだけど……


 作り笑いを浮かべながら、彩が質問に答えていると……


「よーし、みんな揃ったみたいだな……」

少し白髪の増えた山本が、集まった教え子達に語りかけた……

「お前達が卒業して、早二年……こおして、めでたく再会できたことに……」
「先生、先生、堅い話は抜き、抜き!はい、かんぱ〜い!」

お調子者の祐司が、山本の話に横槍を入れると、ドッと笑いが起こり、和やかなムードで同窓会が始まった……

……祐司は、相変わらずこのクラスのムードメーカーだね……

祐司に淡い想いを抱いていた彩の頬は、自然と緩んでいた……

 同級生とは不思議なものである、空白の時間など無かった様に会話が弾み、ちょっぴり大人になった皆の顔は笑顔に充ち溢れていた……


楽しい時間は、あっと言う間に過ぎ去っていく……

同窓会が終盤になると、祐司が彩の元で耳打ちをした……


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