〜はじまり〜-1
〜はじまり〜
こいつもまたどーせ逃げていく。
最初は嬉しそうに「私ドエムなんだよね〜」なんて簡単に言い、
2度、3度と重ねれば飽きて「私のこと好きぢゃないから、平気でこんな事するんでしょ!」と罵ってくる。
好きの感情だけで計れば、俺の方が上だ。そんなこともわからない奴ばかり。
目隠しをさせるのは、余計なものを全て排除させる為。
敏感に反応するよう視界を奪い、好きな女の全神経を、俺だけに集中させて何が悪い。
身を委ねられない程のちっぽけな好きの感情で、いちいち文句を言われるのはうんざりだ。
ショーツ1枚の姿で、四脚の椅子にM字で脚を固定し、後手に手錠をはめる。仕上げにアイマスク。
俺の容姿と外面しか知らない癖に、頬を染め、無防備に近寄ってくる。
でも、おまえは知ってるだろ。
俺の性格の悪さとやらを…
幼馴染の俺に今になって、好きだと告白した雅が、何を考えているのか全くわからない。
早く逃げればいい。
おまえを手離せなくなる程、まだ好きでもねーよ。
「何もしてねーのに、何考えて乳首立たせてんだよ?」
「…だって…陽が…。」
「俺じゃなくても立たせんじゃねーの?」
「…陽にしかこんな格好見せてない。」
震えた声でそんなことを言っても、最後は泣いて、簡単に逃げていくのはわかってる。
「雅、俺ね、こんな風にしか抱いてあげられねーよ?」
乳首を潰すように強く摘み、引っ張りあげるとビクッと反射的に身体を動かし、痛みに耐えている。
痛みが快感になるまで、心も身体も俺に染まればいい。
全部をくれる女しか愛せない。ただそれだけだ。
「嫌なら今のうちに辞めるけど?」
「…陽の好きにすればいい。」
「なら責任持てよ。」
さらに乳首を強く潰した。
俺のことが好きだと痛みに耐えている姿に欲情する。
この性癖はもう、どうにもならない。
「んっ……。」
「あーぁ、腫れてきたな。しばらく誰にも見せれねーよ?」
爪先をくい込ませると、額に汗を滲ませている雅。
指先を離し、足音を立てず背後に廻る。
「……陽?」
優しい愛撫なんかに興味はない。
舌先を器用に耳の中へ入れ、舐める。
「…ふぁあっ…んっ…」
静まり返った部屋で、不意に耳の中に入ってきた舌の感触と音に、身体をビクつかせている。
触れたことでしか、俺の気配を感じれないのだ。気配を感じると安心したかのように、身体の力を抜くなんて可愛い。でも…それだけではまだ、俺は硬くならない。
「…んっ…はぁ……はぁ…」
舌の感触に鳥肌を立たせている。
もっと俺だけを感じればいい。
乳首を指先で弾く。
「…痛っ…」
腫れるまで摘まれた乳首は敏感になり、今はまだ…痛みにしかならない。
それでもM字に固定され、隠すことのできないショーツのクロッチ部分には、染みができていた。
俺だけにしか言えない恥ずかしい台詞で、触って欲しいと懇願すればいい。
そうすれば今より好きになってやれるよ。
手足を解放し、アイマスクを外した。
「今日はもう何もしないから服着て。
外にご飯食べ行こう。」
打って変わって穏やかな表情で話す。
二重人格と言う奴もいる。
好きな女にしか裏を見せないだけだ。
裏だって俺なりの愛情。
雅だって次辺りには、逃げる。
そんなことを思いつつ、俺の部屋に通いなれている、雅の後姿を目に、部屋を出た。
〜To be continued〜