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清心高校失笑日誌
【コメディ その他小説】

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清心高校失笑日誌-1

天垣翔。それが、県内一の進学校である、私立清心高校で最も有名な男の名である。ジャニーズ系のルックス、180cmの身長、スポーツ万能。さらに模試では、その成績は常に五本の指に入る。彼こそ、全てを兼ね揃えたミスター・パーフェクトだ。破天慌な性格を除けば……。
「やぁ、みんな元気かい?それにしても、梅雨だと言うのに、まったく雨が降らないね。梅雨に雨が降らないとは、これは梅雨にして梅雨にあらず。これを期に、雨が降らない梅雨のことを、『ダメ季節』と呼ぼうではないか」
ガラリと教室の扉を開けて、天垣は、挨拶がわりのマシンガン・トークを披露する。
天垣は、現在科学部に在籍している。今年の春に引退した3年生から部長を引き継ぎ、部員わずか3名の科学部を取り仕切っている。指導者としては優秀なのだが、そのキテレツな発想と実験の数々に、部員は日々振り回されていた。
「さて、今回の活動テーマだが、この実験を成功させるには……」
そこまで言ったとき、天垣は、妙なことに気が付いた。部員が増えているのだ。自分を除いて2人しかいないはずの部員が、何故か10人程にまで増えており、しかも、そこには見知った顔はなかった。
「あの〜。ここは、『戦国武将のアバンギャルドな逃避行について語り、語って、とにかく語る会』なんだけど……」
「……部室間違えたか」
名物男は、時々こんなことをやらかす。

「やぁ、みんな元気かい?それにしても、梅雨だと言うのに、まったく雨が降らないね。梅雨に雨が降らないとは、これは梅雨にして梅雨にあらず。これを期に、雨が降らない梅雨のことを、『ダメ季節』と呼ぼうではないか」
人呼んで『知性あるバーサーカー』の天垣翔は、再びマシンガントークを披露。
今度こそ間違いなく、科学部の部室だ。本来ならば理科室を使えるのだが、以前実験に失敗して理科室を爆発させた前科があるため、現在は放課後の空き教室で活動している。
ガラガラの教室には、2人の部員が待機していた。
「部長、遅刻で〜す」
部員1号こと篠崎亜矢美。チビロリな1年生で、今年唯一の新入部員だ。パッチリとした瞳に、セミロングの黒髪。可愛らしい外見だが、ハキハキと自分の意見が言える娘だ。
「いや〜、面目ない。ちょっと生徒会長の如月君と話し込んでしまってね」
「珍しいですね。天垣部長と如月会長と言ったら、校内でも有名な不仲じゃぁないですか」
火と水、水と油、犬と猿、オタクとヤンキーなど、2人の関係を語る言葉は多い。
「なんか言われたのか?」
部員2号こと加賀義人が口を開く。身長202cm、ギンギンの銀髪をツンツンに立てた髪型で、ダブって2回目の2年生をやっている。
「うん。驚くべきことを宣告されたよ。その発言による緊張感で日々の生活に適度の張りが生まれ、寿命が4年は延びたね」
「良いことじゃん」
「如月会長に感謝ですね」
「しかし、僕の寿命と引き替えに、この部がなくなるかもしれないのだよ」
ため息と共に、メガネを中指で押し上げる。
「なくなる? そ、それって廃部ってことじゃないですか!」
「いや、廃部の危機だね。まだ決まったわけじゃないから」


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