巴のラブラブ大作戦!-1
「全く、どうしたってんだよ…急に皆で動物園に行こうだ何て。」
「まぁーまぁー、たまには良いじゃないかぁ。」
辺りにキリンやカンガルーがのんびりと過ごし、そんな動物たちを楽しそうに観る親子連れや学生たち。
ダガ私達(と言っても若葉のみ)愛くるしいアニマルに癒しを求める為、態々この地元
動物園へ足を運んだ訳ではない。
「ん……。」
アスファルトに先ほどから視線を落とし、時よりチラチラと男子二人の背中に視線をやる若葉。
彼女は、彼佐伯あたるに恋をしている。けどその彼がかつてこの私と付き合っていた元彼と知り彼に恋する事に躊躇いを感じていた…。しかし私がもう彼とは吹っ切れた(正しくは吹っ切れようと努力中)と想いを彼女に伝え、それを知った若葉は晴れて胸を張って彼にアタックが出来ると張り切り。この前考案した動物園で上手く二人っきりにしてあげようという作戦を改めて実行する事に。
……それなのに目的の人物であるあたるはなぁーんにも気付いていなく、何で行き成り動物園何かに連れ出されたのか頭上に?マークを浮かべるばかりで。この作戦の主役と言っても良い若葉も先ほどから立っているのもやっとという感じでオドオドし、今にもここから立ち去りそうな感じで。
従ってこの計画に忠実な理解を得ているのは私と連だけ…、はぁ大丈夫か。
「んもうっ!しっかりなさい!何の為にこんな動物臭い場所に来たと思ってるの!?」
「それは動物さんに失礼だよぉー。」
「良い?このZOO(動物園)でしっかりアイツに近づくのよっ!私も連も協力するからさぁー。」
「で、でも。」
はぁー、幸先不安まみれやなぁー。これじゃー私が腹括ってアイツの元カノだった事実を明かした意味がないだろ。…まぁ作戦決行日を電話で知らせた時から既に声が裏返っていたのでこうなる事は判ってはいたが。
「ハハハァ!ホントかよー、ソレ。」
この中で唯一何も知らない彼が伸び伸びと笑う。
良いわ、そうやって鈍感に何も知らないでいるが良い。気持ちは判らんでもないがそうやってオドオドしているが良いさ。
あたしゃハードルは高ければ高い程燃える女何でね…。
我々の想いも知らず無邪気に笑う彼、挙動不審に歩く彼女、そして一人ラブラブ大作戦成功に向けて燃える私を、目を丸くして見つめる連だった。
「うわぁー。」