利益94,720円と鳥の話-5
伊勢神宮ではかなりの雨が降っていた。駐車場に車をとめた。そして傘をさして、長靴に履き替え神宮へむかう。Pちゃんの籠は雨避けと人目避けで布をかけた。犬を連れて観光地にくる人はたまにいるが、鳥はそういないから、もの珍しいのか覆いをしないとすぐ感ずかれる。また布を掛けておくとPちゃんは落ち着くのかあまり鳴かないのだ。
伊勢神宮の参道前の門前町、おはらい横丁を傘を差しながらPちゃんの籠を手にぶら下げて歩く。
名物赤福餅を売る店をはじめ色々な食べ物屋、土産物屋が軒を連ねる。鳥がいるからあまり中には入らず、軒先だけをのぞく。
いつもここに来ると食べる物がある。餡餅の赤福は当たり前だが、地元産の豚の塩焼きの串刺しを食べる。その場で焼いてくれ、塩加減と肉汁が絶妙に旨いのだ。
「うま〜旨い〜っ」と声を出すと、Pちゃんは反応し「ピィピィ〜ッ!」て鳴く。
「あれ、どっかに鳥がいる。」
近くにいる人が言ったが、そしらぬ顔をしておいた。