第2話 憧れの子に見せる。-5
「やっぱ朝から天使だよなぁ…」
通学する明海を見て他校の男子が見とれているのはいつもの光景だ。サラサラな髪がフワッと上がる瞬間が実に清々しい。爽快感溢れるシャンプーの匂いがしそうだ。近付くのも恐れ多く感じてしまう程の、まさに天使と呼ぶに相応しい明海である。
そんな明海であるが、あのような夢を見てしまった為に変な気分になってしまっている。夢の中とは言えまるで現実のように感じたあの快感が頭はおろか体中に残っているようで落ち着かない。歩きながら男子の視線は感じる。夢の中で興奮状態のペニスを見てしまった明海には男子の姿を見るだけでついつい意識してしまうのであった。そんな事を考えてるとも知らない男子は視線に恥ずかしそうに俯く明海を見て萌えてしまう。
学校に着いた。友達と挨拶して会話の輪に混ざる。おしゃべりをしながらも野心の姿を探してしまう明海。友達とワイワイ騒いでいる野心の姿を見つけた。
(朝からエッチな話してるんだろうなぁ…)
しまりのない笑顔を見ればそれはすぐに分かった。
(まさか私とのエッチをみんなに話してないよね…!?あ、あれは夢か…。)
リアル過ぎる夢が現実と混同して頭が混乱してしまう。明海はますます恥ずかしくなる。
(夢の中ではこんな状況で私があの輪の中に飛び込んで行って来須君を誘って図書館で…)
まさにデジャブであった。自分がもし今野心を誘えば夢の再現だ。明海は心臓がドキドキしてきた。
(ま、まさか…私が授業サボってあんな事するなんて有り得ないし。)
そう思いながら何となく野心を見ていると不意に視線が合ってしまった。
「!?」
心臓が壊れるかと思う程にドキッとして慌てて視線を外した。ここで不慮の事故が起きる。野心と目が合った瞬間、下半身が一気に熱くなり愛液を溢れさせてしまったのだ。パンティにまで滲ませてしまった。人知れず顔を真っ赤にして俯いた。
(へへへ、効いてる効いてる。そりゃそうだよなぁ、あんな生々しくいやらさしい夢を見たんだ。俺にオマンコ見せ付けてM字でオナニーした自分の姿を思い出して濡らしてるんだろうなぁ。エロい天使だ。)
明海が今、とんでもなくいやらしい気分になっている事を知っているのは自分だけ。野心は優越感に浸る。
(まだ時間あるよね…)
明海はトイレに急いだ。そしてグッチョリと湿らせてしまった性器を拭う。トイレットペーパーに付着した粘液が物凄く卑猥に感じた。
(どうしよう…、私、おかしくなっちゃった…。)
夢一つで自分がこんなにおかしくなるとは思わなかった。頭の中はセックスでいっぱいで勉強が手につきそうにない。そんな中、明海はある夢の中の出来事を思い出し図書館へ急いだ。図書館に入りある本棚を探す明海。
(あ…!)
まさに夢と同じ場所に誰かが持ち込んで隠したという、いわゆるエロ本があったのだ。内容まで同じだ。明海は驚いてエロ本を床に落としてしまい、慌てて本棚に戻した。
「あ、あの夢…、現実になっちゃうの…!?」
今朝早くに野心が仕込んだエロ本の罠に思い切りはまる明海。怖くなり両手で口を塞ぐ。
(私、来須君とエッチしちゃうのかな…。しかも私から誘って…)
完全にいやらしい気分になっている自分はそれをやりかねない状態にある事を自覚していた。むしろそれが運命なのかも知れないとさえ感じていた。あんなに生理的に無理であった野心が、自分がこんな状態になった今、どうしても気になって仕方のない存在になってしまっている事に気付く。明海は野心を見るとセックスを連想してしまう程に野心を意識してしまう。
教室に戻り席に着く明海。何気なく振り返り野心の姿を見る。
(…)
もはや完全に自分の恋心を奪われている事を確認した。自分は野心が好き…、それをはっきりと自覚した。
明海が前を向くと、すぐに視線を明海に向ける野心。
(オマンコヌレヌレか?興奮してるか?今すぐオナニー、いやセックスしたいんだろ?館野…、へへへ)
明海を見るだけで勃起してきた。
(これ、毎日俺との夢を見せ続ければ館野をゲットできんじゃね!?)
自分が思っていた以上の効果に野心は驚いていた。