黒い嫉妬-5
〜黒い嫉妬〜3-5
(蓮もう起きてるんだ…?)
夕飯を作り始めるにはまだ早いと思い、自室で少しばかし、くつろいでいる椿。
(…なんであいつが居んだよ?)
自室へ戻ってしまった蓮は、椿と2人だけの空間に、土足で踏み上がり込んでくる、隆二への苛立ちがおさまらないのである。
隠す気のない女タラシ。
案の定、椿との交際も短いまま、他へ気持ちがいってしまう奴なのだ。
(…あんな奴が椿に触るのは許されて俺は駄目なのかよ。あいつより俺のがよっぽど誠実だ。)
誰が聞いても嫉妬にしか聞こえないであろう。無自覚にも程がある。
昨夜、謝りに一旦帰宅したが、それでも椿とはまだ顔を合わせていない。それどころか、見たくもない男に出会し、仲直りどころではないのだ。
苛立ったまま蓮は浴室に向かいクールダウンさせる。
あの日からリビングのソファーには座っていない。今日はまたいつものように並んで座れるのだ。
久しぶりに蓮の気配を感じる自宅に安心感をかみしめ、蓮の顔をみれることが嬉しく、楽しみにしているのである。
(…大丈夫。蓮も普通にしていれば普通にできるはず。)
仲直りをしようと決意してたのは椿も同じであった。きっぱりと別れた隆二を、少しでも招き入れたことで、歯車が噛み合わなくなるとは、思ってもいないだろう。
(…そろそろ夕飯仕度かな?出来上がった頃に蓮を呼ぼう。)
夕飯を作ろうとキッチンへ向かうが、浴室からタイミングよく、先に蓮が出てきてしまったのだ。
「…あ!」
(…//////。)
久しぶりに顔を合わせたにも、かかわらず蓮は浴室からタオル1枚で出てきたのだ。
見慣れている格好のはずだが、直視して良いものか、顔を逸らし、意識してしまうのも仕方がなかったのだ。
蓮の身長180p、椿は152p。
意識している椿の目前に立ちはだかれば、それは…それはダイナミックに映るであろう。
そんなこととは露知らず、
蓮はその「…あ。」という一言も気に入らず、仲直りの許しを請うはずが、苛立ちを打つけたのだ。
「そんなに俺の顔も見たくないって?あー、それで隆二くんに慰めてもらうつもりだったとか?
マジむかつくわ…。」
「ちがう!」
「安心しろよ!もう触らねーし。」
「…仲直りしようと思ってたんだよ!バカたれ!!」
口調は強いが涙目になってしまう椿。
「…勝手にしろ。」
そう言い放ち椿を通り過ぎた蓮。