投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC)
【学園物 官能小説】

そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC)の最初へ そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC) 19 そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC) 21 そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC)の最後へ

同級生の結婚-1

【同級生の結婚】

真下の結婚式当日。昼からの披露宴だったが、オレ達のクラスとバドミントン部は部活は休むことにしていた。しかしそれに関係の無い結衣は、この日も午前中に部活があり、少し寂しげに朝から学校に向かって出掛けていった。

昼を過ぎ、オレも披露宴が開かれるホテルに向かって家を出た。本多から、真下に絶対に気付かれないように早く来すぎてもダメで、遅れるのは言語道断だと釘を刺されていた。

そして最終的に、ホテルの近くの公園に披露宴の30分前に集合せよとの指示を受けていた。

「雨が降ったらどうするんだ?」

「こんな日に神様が雨を降らすわけないでしょ!」

捲し立てる本多に、神様もその気になってくれたようで、この日は朝から快晴だった。

本多の指示を守って、制服姿のクラスメート達が三々五々公園に集まってきた。

「暑い〜」

「赤木〜、本多の代わりに、少しくらい雨を降らせって神様に言ってくれ〜」

「いんや、この天気は神様の意思じゃなくて、なっちゃんの執念だからオレには無理だ」

なっちゃんこと本多夏子と他2名、それに担任の白石先生は、今はホテルのチャペルの中で結婚式を見守っている。

その本多には頭が下がる。物怖じせずに反対する保護者を次々と説得し続け、最後にはその保護者を味方に付けてしまった交渉能力は、見事と言わざるを得なかった。

しかし、暑い。急遽集合場所が、自然発生的に隣に併設する図書館に変更になった。

時間になると学級委員の町田女史が音頭をとってホテルに移動した。オレ達は披露宴の受付はスルーしていいそうだ。そのままぞろぞろと会場に入っていった。

事前に教えられていた自分の席に付いた。

『稲川裕樹様』

テーブルの上の達筆で書かれた自分の名前を見て、何だか大人になったような気がして感慨深かった。

落ち着きの無いの生徒達のしゃべり声で、会場はざわついた。

しばらくすると、白石先生を先頭に式に出ていた本多達が足早に入ってきた。

「ウワー、先生綺麗〜」「先生、別人みたいだ」「馬子にも衣装」等など、普段とは違う白石先生の華やかな装いに、場内は更にざわついた。

「はーい静かに静かに、先生の美しさを褒めるのは後にして静かにしなさい。千尋ちゃんのお父様がご挨拶なさいますからしばらく静かにね。では真下さん、お願いします」

白石先生に促されて、少し痩せた真下の父親が、オレ達の前に立って頭を下げた。場内はようやく静かになった。

「皆さん、真下千尋の父親です。本日は千尋のために、わざわざお越しいただいてありがとうございます。まだまだ未熟な娘ですが、これからも千尋と温かいお付き合いをお願いします」

真下の父親はそう言うと、いつの間にか横に立っていたおばさんと共に頭を下げた。

このおばさん、真下によく似てるけど、真下の母親は亡くなったはずじゃなかったっけ?真下の叔母さんかな。

挨拶を終えた2人は、招待客を出迎えるために、会場の入口に戻っていった。

この1月後、真下の父親は癌で他界することになる。真下の結婚が急がれた理由は、真下の父親の葬儀に参列した時に、号泣する真下をしっかりと支え慰める佐々木の姿を見て理解した。

白石先生はもう1人、会場の入口で招待客を出迎えている初老の男を呼ぼうとしたが、その男は入口の際に立って手を振りそれを固辞した。それでも白石先生はその男を紹介した

「ご挨拶を固辞されましたが、あの方が新婦のお父様の佐々木さんです。今回のあなた達の費用の大半をご負担いただきました。実は今回の話も佐々木さんから千尋ちゃんの結婚式を、みんなで祝えないかと相談を受けたことが発端でした。その佐々木さんのご提案のお陰で、力の無い私がクラスが纏めることができました。佐々木さん、本当にありがとうございました」

白石先生が入口に立つ新郎の父親に頭を下げたので、オレ達も一斉に頭を下げて感謝の言葉を口にした。

「ありがとうございました」

オレ達の言葉を受けた新郎の父親は、「いいって、いいって」と手をひらひら振って照れ笑いを浮かべていた。親子揃っての気さくさに好感が持てた。



そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC)の最初へ そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC) 19 そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC) 21 そして純情姉弟の恋模様(クラス1-AC)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前