思いつき-1
今日は二泊三日の社員旅行の二日めだった。
社員たちはゴルフ、観光、海水浴など、それぞれに旅行を楽しんでいる。
そんな中、私はひとりで旅館に残っていた。
「何だ、山田君、ゴルフ行かないのか?」と社長にがっかりされ、部下からは「部長、行きましょうよ」と誘われたが、「昨夜の宴会で飲み過ぎて二日酔いで」とウソをついて断っていた。
ウソをついたのには理由がある。
今年の新入社員の藤崎由美。
彼女への思いを抑えきれなかったからだ。
藤崎君は清楚で可愛らしく、誰からも好かれる会社のアイドルだった。
仕事も真面目で熱心で社内はもちろん得意先からも信頼されている。
そんな彼女に年甲斐もなく恋してしまった私は激しい煩悩に狂わされていた。
仕事していても考えるのは彼女のことばかり。
彼女の立ち居振る舞いすべてが気になる。若い男性社員と話しているだけで嫉妬心が湧いてくる。
ひさしぶりに中学、高校の時のようなオナニーもした。
藤崎君のことを想ってのオナニーは激しく燃えた。
まだ女性を知らなくて性への好奇心と渇望でいっぱいだった頃のように彼女を想像の中で何度も犯した。
妻を藤崎君に見立てて抱いたこともあったが、垂れた乳、脂肪のついた腹、潤いも張りもない肌にたちまち萎えた。生やし放題の陰毛や、羞恥のかけらもない黒ずんだ肉びらもどう見ても藤崎君のものに想えなかった。
私の思いは募っていった。
藤崎君を抱きたい。あの形のいい整ったくちびるにキスしたい。あのみずみずしい体を前から後ろから犯したい。
しかし、私は五十近い、ただの中年男だ。
昔、柔道をしていたから体格は立派だが、腹は見事に出ている。
藤崎君も部長という肩書きがあるからいろいろ気を遣ってくれるが、なければ鼻にかけてもくれないだろう。
映画やドラマにあるような上司と部下の情事なんてウソだらけの夢物語だ。