愛しているから-8
◇ ◇ ◇
結局このキャンプで、童貞を捨てることはできなかったけど、一回り成長できたと思うんだ。
顔を赤くして黙り込む修と歩仁内を尻目に、沙織は俺の隣に駆け寄り、スッと腕を絡ませてきた。
「近いうちに、するもんね?」
そして、彼女は八重歯を見せて、俺にニッコリ笑う。
「え?」
「たまたま生理になっちゃったからできなかったけど、あたし達はそのうち必ずエッチするもんね」
そう言って、俺の肩にコツンと頭をもたれさせる沙織にカッと顔が熱くなる。
肝が座ると女の子の方が強いんだって。
そしてそれは、そう遠くない未来のことだと思うと、やけに生唾を飲み込む音が響いたような気がした。
すると、背後から、
「お泊まりの時はアリバイ作り協力するよー」
びっくりして振り返れば、キッチンで朝食の用意をしていたはずの石澤さんと、本間さんの姿。
二人ともちょっぴり意地悪そうに笑いながら俺を見つめている。
そんな彼女らに、沙織はピースしてみせ、
「うん、よろしくね」
と笑いかける。
そんな和やかな雰囲気に、顔を赤らめて黙っていた修もついに、
「ラブホ代貸してやるよ、利子は倍にしてな」
なんて叫ぶもんだから、みんながドッと笑う。
そんな笑い声に包まれながら、俺と沙織は顔を見合せてフッと微笑みあった――。
……と、終われればよかったのだが。
「なーんだ、元サヤに戻っちゃったか」
よく通る声が聞こえてきて、ビクッと身体が強張る。
砂利を踏み締めながら、俺達に近付いてくる、州作さんの姿がそこにあった。