結衣の感情-3
真っ赤になって結衣は俯いた。結構、肉欲にまみれて何回もセックスしているが、それは言わないことにしたようだ。
「でも気を付けた方がいいよ。結衣って学校でも裕樹くんを見つけたら、よくそんな顔をしてるよ。だから、怪しいって思ってたんだから」
「うん、気を付ける…」
自信無さげに結衣は応えた。
「でも不思議よね。よくある近親相姦って、体だけが目的でここまで心の繋がりは無いよ」
結衣に以前聞いたことがあった。耳年増の真弓は告白投稿サイトのヘビーユーザーらしい。そこで見知った知識のようだ。
「そこまで恋人みたいに愛し合えるなんて姉弟とは思えないわね。若しかしたら結衣達って、生まれた時にどちらか取り違えられたんじゃない。ホラ、福山の映画であったじゃない。本当は他人だったりして…」
真弓は1人で盛り上がってオレ達を見比べた。
「でもないか。あんた達って、ホント良く似てるものね。どこから見ても姉弟だわ」
結局、自己完結して勝手に納得したようだ。
それと同じようなことは、出がけに受けた電話で本多からも聞かされていた。悪気なく結婚できないことを言われた後、電話を切り際に言われた言葉を思い返した。
『2人が他人だったら良かったのにね。でもどう見ても2人ともお母さんに似てるから他人のワケないか』
本多は入学式の時に、オレと結衣と母親が一緒に居るところを見たことがあるそうだ。
真弓が言った福山雅治の映画のように、他人だったら良かったのにと思うことが時折ある。若しかしたらと妄想を膨らますことも再三だ。
しかし、第三者に言わすと、他人であることは考えられないほど2人は似ているようだ。これは昔からよく言われ続けたことだから間違いないだろう。
「でもあれね。そこまでの想いを見せられたら、もうあたしの入り込む余地ないかな。残念だけど」
「ごめん、でも結衣は悪く無いんだ。最初はオレが無理矢理結衣を誘ってこうなってしまって…。だからオレは嫌われてもいいから、結衣のことは嫌わないで」
オレの浅はかな行いが素で、2人の間がギクシャクしたら堪えれない。オレは真弓に今まで通りに結衣と友達付き合いをして欲しいと頼んだ。
「しょうがないかな。あたしは裕樹くんと同じくらい、結衣のことも好きなんだから無視できないよ。裕樹くんに結衣を取られちゃったけど、これまで通りでいいよ。でもこれって、1度で2回失恋したってことじゃないの。あたしってなんて可哀想な子なの」
真弓がサラリと変なことを口走った。
「ちょっと待って!あたしを好きってどういうこと?もちろん友達としてだよね」
「結衣だけが異常じゃないよ。あたしの興味は女の子だけどね。ホラ、前に部室で結衣に下着の中に手を入れられて、アソコを触られたこと有ったじゃない」
「何だって!」
オレは驚いて目を見開いた。
「あの時から結衣にキュンキュンしちゃってるのよ。また触って欲しいなあ、なんて」
「結衣、お前そんなことしたのか!」
「ごめんなさい!あの時、裕樹くんには付き合ってる子が居るって真弓に言ったの。そしたら真弓が慰めてって言ったから、そんなことになっちゃって。ホラ、真弓っていつもエッチなことばかり言ってたから、慰めるってそういうことかなって…」