同級生女子からの電話-4
「相手は真下の父親の友達らしい」
「親の友達ってどんな繋がりなのよ!じゃあ、ウチのお父さんと同じくらいじゃないの。凄い歳の差だけど再婚かしら?」
「いや、オヤジほどいってないって。34歳初婚で本多情報に寄れば、かなりイケメンらしい」
「へ〜、それでも歳の差婚に変わりないけどイケメンならいいか。でも親もよく結婚を許したわね」
母親の尺度に掛かれば、イケメンなら何でもOKになる。
「それが父親の方から結婚を勧めたらしいよ。1月以内に結婚式を挙げることが交際を認める条件だって」
「何よそれ!突拍子もない考え方する親も居るものね」
母親の驚きも尤もだ。
「びっくりだけど、それで一体あたしは何をどう同意したらいいの」
「オレが結婚式に出るのをOKしてくれるだけで、何もしなくていいよ」
「やだ、あんた結婚式に招待されたの?早く言いなさいよ。服とからご祝儀とか用意しなくちゃならないんだから」
「ということはOKってことでいいよね。でも心配いらないよ。服は制服だし、祝儀は一切不要だから、是非参加して欲しいって」
「ご招待されてそんなワケいかないでしょ。何かしなくっちゃね。で、保護者も行ってもいいのかしら?楽しみね〜」
「保護者同伴却下!」
オレは舞い上がる母親を速攻で釘を刺した。
「あっ、クラスのみんなが式に出るのは真下に内緒だから、2人とも絶対に誰にもしゃべったらダメだからな」
「え〜、お母さん自信ないなあ。今も誰と誰にしゃべろうかって、4,5人の顔が頭に浮かんでるのに」
「勘弁してくれ〜。真下にバレたら本多に殺されちゃうよ。結衣もおしゃべりな真弓には絶対内緒な」
結衣のクラスメートで結衣と仲の良い真弓は、いつも騒々しい。真弓の耳に入ればあっと言う間に学校中に広がるのでこれも釘を刺した。
真弓のことをついでに言えば、オレに一目惚れをした真弓から、結衣を通じて交際を申し込まれたことがあった。これはもちろん速攻で断った。
「結衣、聞いてる?真弓には言うなよ」
「う、うん…」
1人舞い上がり気味の母親の横で、結衣は表情を無くして気の無い返事をした。
やっぱりか…。再び沈み込む結衣の様子に、自分の失敗を覚った。