序章-1
【序章】
金曜日の深夜、オレは自分の部屋のベッドに横たわり、両親が酔っ払って寝付くのを、ソワソワしながら待っていた。
仲の良い両親は子離れをしたのを幸いに、週末の夜は居酒屋に行くか、家飲みをするのが恒例行事になっていた。この日は給料日前だからか、2人は仲良く家で飲んでいた。
陽気な両親は揃って声はデカイし、酔えば笑い声も豪快になった。そのわりに、酔った2人は揃って寝付きも良く、静かになれば眠ったと直ぐにわかるほどだった。しかも一旦眠ったら中々目を覚まさなかった。
下の階が静かになってから5分後、決まって一つ年上の姉の結衣がコッソリとオレの部屋に忍んで来る。これも我が家の週末の夜の恒例行事だ。
何故姉が深夜にコッソリとオレに会いにくるのか。それは…