7章-2
「あ! やぁ……、駄目っ!」
麻美は兄のシャツをぎゅうと握りしめ、苦しさに耐えている様だが、
匠海は胎内に埋めた指を徐々に早めていて。
「あっ やぁ……、あぁん、すごぃっ」
ルージュが引かれた麻美の唇から漏れる、甘い喘ぎ。
その声は、まるで匠海によって奏でられている様で。
指の速度に合わせ、紡ぎ出されていく。
「あぁ、やだ、指でなんて……。匠海の、ちょうだい?」
(ちょうだいって……、お兄ちゃんの、何、を……?)
動悸の激しい薄い胸を押さえながら、疑問に思ったヴィヴィの前で、匠海がベルトを緩め。
ヴィヴィはやっと悟った。
BSTで教わった性教育の「子供を作る男性器と女性器」。
あの時はウトウトしていて、真面目に聞いていなかったが、
今 目の前で兄が取り出したものを見て、ヴィヴィは瞳を真ん丸にした。
それは少し上を向いており、英国の血が入った肌の白い匠海のそこも、同じ様な色。
麻美は何を思ったのか、ソファーから降りると床に膝をつき、
愛おしそうにそれに手を伸ばすと、キスを落とす。
(――――っ!?)
想像もしていなかった2人の行為に、ヴィヴィは驚嘆し、
しかし行為から瞳をそらせず、食い入るように見入る。
麻美は夢中になって匠海のそれを頬張ると、じゅぷじゅぷと音を立てて口淫を続ける。
「……っ あぁ……」
茫然と麻美を見つめていたヴィヴィの耳に、匠海の呻きが届く。
ソファーの背に背中を預けた兄は、股の間で上下する女の頭を時折愛しそうに撫でながら、恍惚とした表情を浮かべており。
灰色の瞳は欲望に濡れ、形のいい唇が時折ふるりと震え、苦しそうな喘ぎを零す。
(……あんな、お兄ちゃん……、見たこと、ない――)
苦しそうにしているのに、その姿が何故か美しく見えて。
妹が兄の痴態に見蕩れていると、麻美が「匠海……」と媚びた声で兄を呼んだ。
「ああ、来てください」
ゆっくりと立ち上がった麻美は、ヴィヴィに背を向ける格好で兄の正面に跨ると、
匠海のそそり立ったものに腰を落とした。
こちらからは麻美のスカートで隠れて、2人が何をしようとしているのか見えなかった。
だが、
「自分で入れて、見せて下さい」
そう麻美に甘える匠海の声を聞き、ヴィヴィは咄嗟に理解した。
「あんっ……あ、あ、やぁ、入って……ああっ!」
(「入って」……!? えっ!? 入ったの? あんなに大きなものが――っ!?)
麻美の艶っぽい嬌声に、ヴィヴィはびくりと震え。
鼓動の速さがピークを迎えた心臓に、更に熱が上がるのを感じた。
部屋の空気は寒く感じるのに、何故か身体の奥は 熱くて熱くて堪らない。
「すごい、麻美さんのナカ……」
そう辛そうな声を上げた匠海は、しばらく何かを我慢しているようだったが、
やがて麻美の腰を掴むと、ゆっくりと上下させ始める。
「あっ あ……っ あぁっ!」
注挿が繰り返される度に、麻美の咽喉の奥から声が漏れ。
そしていつの間にか、自分で腰を振るうようになっていた麻美の好きなようにさせ、
匠海はあたかも王者の如く、彼を貪る麻美を不敵な笑みを浮かべて見つめている。
その目線は淫秘で、ヴィヴィにはとても爛(ただ)れて見えた。
(……お、兄、ちゃん……?)
「あ、すご……あんっ やあ……あぁんっ」
「ここ、いいんですか?」
麻美の腰を引き寄せ、スカートを捲りあげた匠海の長い指が、麻美の白い尻に食い込み。
そして最奥を穿つように腰を密着させると、小刻みに動き始めた。
「……っ!! はぁっ や、ダメ、ダメっ、駄目ぇっ!!」
「奥、好きだよね、麻美さん?」
まるで苛めるように、執拗に腰を擦り付けていた匠海に、麻美が切羽詰った悲鳴を上げる。
「やぁ、イっちゃう、イっちゃうよぉ〜〜っ!!」
今までの大人びた態度とは異なり、やけに子供っぽい声を上げ悶える麻美。
(……? イく……て、何?)
麻美の言葉に疑問を感じる一方、ヴィヴィの頭は徐々に痛みを訴えてきた。
熱が上がり始めたのだろうが、だからといって2人から目をそらせる筈も無い。
なにせ、BSTでは「性行為は男女が生殖器を繋げ合わせ、精子の授受をして終わり」だったのに、
どうやらそれだけでは無いらしくて。
「イって下さい、麻美さん」
余裕そうに麻美にそう命令した匠海は、麻美の膣内から己をずるずると引き出す。
初めてヴィヴィの瞳が、二人の結合部を捉えた。
麻美の愛液で、ぬらぬらと厭らしく光る狂暴そうな匠海の欲望は、
ぬぷぷと卑猥な音を立て、また麻美の中を擦りあげていた。