○○☆少女-4
(おいおい何だよ、とびきりの美少女にしゃぶらせて、気分も最高潮って思ったら“電波ちゃん”? 流石にこれは、早々に退散すべき…… )
男は射精直後少女の奇異な言動に興醒めし始める。
「♪あらあら、逃がさないわよ。質の低さは、せめて量で補ってもらわないと、労力にあわないわぁ」
『☆それでもこの質では、一晩中絞りとっても、“みすず”との争いで受けた消耗は癒せないねっ!』
「ぎゃふぁぅっ!!!」
少女から一歩距離を取ろうとした男が奇声を発する。
それもそのはず、男の陰嚢は少女の左手で睾丸を握り潰さん程の握力で拘束されている。
「♪だ・か・らぁ、量で補ってもらうって言ってるでしょっ!」
その言葉が終えると同時に、再び男の陰茎が咥え込まれる。
その状況から言えばとてもそんな気分になれない男であったが、粘膜に包み込まれた陰茎は意思とは無関係に貧欲な膨らみを見せる。
数分もせずに男の先端から、二度目の咆哮があがる。
じゅるっ じゅるっ
一度目とは大きく違う下劣な音と共に、男から発せられた“滋養”が吸収されていく。
それはまるで、搾乳機の様な行為であった。
射精しても萎える事が許されず、繰り返される行為は回数を増す毎に拷問の様相を呈す。
12時間後……
2015年1月31日 土曜日
13時12分
少女は12階建てマンション最上階、ダイニングでひとり遅めの昼食を摂っていた。
テーブルには少量のフルーツと機能性食品、それと淹れたてのダージリンが芳しい匂いを香らせている。
本来であれば必要としない習慣、嗜好を今なお維持しているのは、少女が“ひと”であった頃の記憶を残しているに他ならない。
『☆ねえ、エリコ、今週は最悪だったね?』
エリコの中に宿る、もうひとりのエリコが嘯く。
「そうですね」
短い返事で同調するエリコは、このもうひとりの自身に想いを馳せる。
自身に宿るもうひとりの人格と呼べる存在とも、ここ数年で随分と折り合いがつくようなったと思う。
最初の頃はその毒舌によく泣かされたものだが、最近ではある意味擬似的な姉妹関係とも言えた。
もっとも当の本人は、どう思っているか皆目見当はつかないが。
ダイニングからも十分認識出来るリビングのテレビより、昨晩自分が関わったニュースが聞こえてくる。
アナウンサー:「……早朝保護された40代と見られる男性が、先程収容先の病院で…… 発見時より著しく憔悴していた男性ですが…… 身元が分かる様な物は身に着けておらず、何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が…… 」
『☆あらあら、あいつ。でもっ、良い夢観られたのだから、当然の対価とも言えるわ。下等な生き物には、過ぎたる悦びだったようね』
アナウンサーの言葉に気付いたもうひとりのエリコが辛辣な言葉を並べる。
「そんな事より数日前に遭った“みすず”とか言う天女の方が気になるわ。あれはテレビ番組何かで媚を売っている“出来損ない”、三流の天女の末裔なんかじゃ無い!」
ニュース番組が終ると偶然にもエリコが言うところの、天女の血を微かに宿すであろうアイドルグループが映る。
それを侮蔑の表情で視覚の隅に捉えるエリコ。
『☆仕方ないよっ。彼女たちだって、好き好んであんな事をしている訳じゃない。ほんの僅かでも天女の記憶を残していれば、自然と地上人の雄を惑わすべく行動を…… それが遺伝子レベルに刻まれているのだから』
“超常の力”欠片すら持ち合わせぬ天女の末裔たちを哀れむ様に、もうひとりのエリコは擁護する発言をする。
「それについては私も想うところがあるけど…… それよりも今は、あの“みすず”の事が先決よ。到底協力は望めそうにないし、何より彼女は地上人の中に埋もれ消え行く事を願っている」
エリコの瞳が冷たい鋭さを増していく。
『☆彼女が“出来損ない”なら、それも理解出来なくはないけど。彼女が最後に見せたあの能力は、紛れも無く天女の持つ“超常の力”、それも完全体の天女すら僅かにしか持ち合わせていなかった“摂理に抗う能力”』
「それだけに生体エネルギーの消耗は著しいはず。それに彼女本人の言葉を借りるなら、地上人の雄を“滋養”としてはいない。だからと言ってあの様子では、補給用に優秀な“矛盾”を囲っている訳でもないでしょうから、殺(や)るなら今しかないわ」