○○☆少女-3
男は…… 光の輪、エンジェルリングを見下ろしていた。
いやっ、天使、エンジェルを見下ろしている錯覚にさえ陥っていたのかもしれない。
そう思えるほどに、男の心は少女に魅入られはじめていた。
目前に傅く少女に包み込まれる感覚に、言い表せぬ恍惚の表情を浮かべていた。
「んっんぐぅっ、んぐっ、うぅんぅ…… んっんっふぅぅ…… 」
形容し難いくぐもった淫靡な音が、少女の口元、鼻腔より漏れ聞こえる。
それは決して嫌々行為を強いられたものではなく、自ら率先して望み求める行為に感じられる程、少女自身の口元には熱が帯びていた。
先程はにかむ笑みを浮かべた同じ口元に、陰茎が咥え込まれ口内粘膜の温もりに包まれている。
そして先端えら括れに沿わされた舌先が絡み、転がす様になぞりあげ舐りこんで来るのである。
「いけないな、君みたいな娘(こ)が、どこでこんな事を覚えたんだい?」
十代少女のものとは思えぬ舌技に、男は堪らず高まった意識を逸らそうと言葉を発する。
そして数十分前に少女と交わした取引、約束を思い起こすのである。
「もちろん最初のお約束通りで良いのですが、その…… 何ていうか…… 私、その…… ちょっと…… 」
少女の頬が赤みを増し、魅力的な大きな瞳に宿る妖しい光度が増していく。
「えっ、お金とかじゃなくて?」
男はひどく的外れな返事をしてしまった事を悔いるが、次の少女の言葉に驚きと高ぶりを隠そうとはしなかった。
「あのおぅ、あの…… 私の事、まっ、まんっ、満足、させてくれますか?」
「って言われても、どう証明したら良いやら?」
「それでなんですが…… 」
少女はそこで先程とは一転して、願っても無い事を悪戯な笑みを浮かべ申し出る。
「ちゅぷっ」
少女の集中と己の高ぶりを逸らす言葉に、潤いのある音と共に少女の口元から陰茎が外れる。
「あんっ、ずるいです」
こちらの思惑を見透かしてか、拗ねた表情を浮かべ非難めいた言葉を発する。
「いやぁ〜」
男は照れ笑いを浮かべ誤魔化す。
「エリコと…… エリコのお○んこに挿(い)れたい? エリコのこと欲しい? もしも…… もしもエリコのこと、エリコのことイカせてくれたら、エリコは貴男の“もの”」
瞳に宿る光は妖しさを更に増し、少女は自分の言葉に酔いはじめていた。
(もしかしたら…… この少女は元々イカレているのか? おかしなクスリでもやっているのか? それとも持ち合わせる美しさに比例して、先天的に淫乱なのか?」
男の脳裏に、幾つもの言葉が浮かんでは消えて行く。
(しかし仮にそうだとしても、どうだと言うのだ。こんな若くて可愛い娘(こ)を抱けるチャンスは、そうそう巡って来ない。それにこの少女が言う様に、もしもこんな娘(こ)をセフレに出来たなら…… )
在らぬ妄想が男の頭を駆け巡る。
「ぺなるてぃーっです」
甘える様なニュアンスで告げられると、少女は自ら制服のリボンを解きはじめる。
先程まで部分的に目にする事しか叶わなかった肌にはくすみひとつ無く、それはまるで美しさを通り越した無機質感さえ漂わせていた。
そしてコンサートピアニストの様な指先が、陰茎に絡み付くと再び口元へと誘われる。
少女の容姿と対照的な音が、決して広くない室内にこだまし始める。
絡みついた指に竿は扱かれ、先端部括れは口元に舐られながら、いつの間にか陰嚢…… 睾丸までが指先で転がされ弄ばれ始めていた。
「はぅぁっ、うぁぅっ……」
突き抜ける快楽と共に、男の歪んだ口元から情けない嗚咽が漏れると同時に、陰茎先端より“悦び”が迸る。
(やばっ、何も言わずに急に出したんで怒ってるかな?)
同時に男の脳裏には非難めいた表情を浮かべる少女の顔が思い浮かぶ。
「んっ…… むぅぅ、んぐうぅん」
少女は小さな口いっぱいに迸りを一端受け止めてから、咽を鳴らせて嚥下する。
大量の体液を吐出直後にも関わらず、その殊勲な行為に男の陰茎は再度漲るも……
※1「♪どうやら“種子”には、何も宿して無いようね? それに僅かにも“矛盾”の末裔として…… すら無いわっ。これじゃ、“滋養”としては最低ランクの質ね。ツイてないわぁ」
※2『☆仕方ないよっ! 天女に矛盾、共に長きに亘る地上での交配で、互いの存在を認識する術は、もう直接的な接触でしかないんだから』
少女はまるで一人芝居でもするかのように、男の目前で不思議な会話をはじめる。
※1「♪の会話」は、テンションが上がっている時のエリコ
※2『☆の会話』は、エリコの中に宿る、もうひとりのエリコが発しているもの