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衛星和誌 −Qカップ姉妹−
【SF 官能小説】

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ジェニファー語り(6)-1

 リリアが、大きな変わった形の配膳台を押して戻ってきた。
「ノーヴァヤ・ゼムリャの問題もあるのよ。都市計画って、面白そうだと思ってたけど、意外と大変なものね‥‥」
 ナディーカさまは、第一次五ヶ年計画の主唱者であり、その重要項目のひとつ、この首都レアンドラの第五次再開発計画の総責任者でもある。ノーヴァヤ・ゼムリャ発電所は、その要となるべく新たに設計され、建設が予定されている発電所なのだが、反対運動が根強く、さらに最近広がりを見せており、建設スケジュールの大幅な見直しを余儀なくされようとしていた。こちらのほうは、現在、その反対運動側も巻き込んだ行程スケジュールの見直しに入ったことにより、ベルサビア空港よりは、進展の兆しを見せていた(あくまで兆しであるが、軍と違い、政治の世界ではこう言わねばならなかった。そしてわたしはまた、反対運動の巻き込みに、あらためてナディーカさまの政治的手腕を見た)。
 リリアが押してきた大きな配膳台に乗っていたのは、数種類の小さなケーキ類だった。幾つかはわたしにも名前がわかった。――それはいいが、彼女はそれらをわたしたちの前に並べる気配はなく、お茶を入れなおし、配膳台を固定すると‥‥やおらメイド服を脱ぎ始めるではないか!
「?」
 初めて見るその大きな配膳台が、床にしっかり固定することにより、卓を兼ねるようになっているものだというのは、見ていてわかった。服を脱ぐことはナディーカさまと話がついているらしく――というより、ナディーカ姫さまのご命令らしく、姫さまはわけありな微笑を浮かべていた。わたしがわからなかったのは、リリアの行動だった。
 白系統のパンティ一枚のあられもない姿になり――しかし、ただ服を脱ぎ、給仕をするというのではなかった――台がしっかりと固定されていることを確かめると、やおらそこに乗り、仰向けになったのだ。その姿勢ではさすがに重力には負けているが、わたしよりずっと細身にも関わらず遂に一一〇センチを超え、またOカップに達したと姫さまから聞かされているその見事な双乳は、充分なボリュームを保持していた。まるで、大きなケーキのように。
 姫さまは笑みを浮かべてすっと立ち上がり、その新しい卓――リリアの体も合わせた――に近づくと、
「ふふっ、美味しそう」
と、指先でちょんとその乳山の片方を突いた。
「うふうっ‥‥」
 リリアが色っぽく鳴いた。同時に乳房が、たゆぅん‥‥と揺れた。

「ジェニー、これはね、女体盛りというのよ」
 姫さまは、わたしに解説してくれた。
「彼が教えてくれたの」
 ナディーカさまは、楽しそうにおっしゃられた。わたしは、姫さまのお心を確実に捉えかけているあの黒い服の調教士に、嫉妬を覚えた。リリアの見事なボディは、その変わった形の卓の上で、皿になっていた。おもに腹部上に、幾種類かの小さなプチ・ケーキが乗っており、たっぷりとしたボリュームの乳房には、ナディーカさまによって左右それぞれ違うクリームが塗られていた。これらの盛り付けはナディーカさまとわたしによって行なったのだが、そのときからもう姫さまは、
「ほうら、リリィ、おっぱいに塗っちゃうわよ」
と、銀の盛りつけ匙でリリアの乳房をくすぐっては彼女を喘がせていた。姫はまた、プチ・ケーキに使った、光沢がない黒の大きめのトングも手にし、リリアの体に使おうというのかガチガチ言わせていたが、結局それは使わずに、わたしに着席を命じた。
 リリアの手足は、どちらも折り曲げられて卓の下部近くの横面で拘束されている。そこにあらかじめ固定器具が備わっており、彼女の体をがっちりと、少し反らせ気味に固定していた。ナディーカさまとわたしが向き合って彼女リリアの両脇につく体勢で、プチ・ケーキをつまみつつ、カップを口元に運ぶ。カップはリリアのカラダには置かず、ほっそりくびれたウェストの脇あたりの卓のスペースに固定器のようなものがあり、そこに置いていた。
 わたしが赤くなっていたのは、何も嫉妬のせいだけではない。視界にいやでも入るリリアの驚くほど美麗な巨乳が、ナディーカさまに時折撫ぜられ、彼女リリアの甘い鳴き声とともにたゆんたゆんと揺れていたからだ。その見事な眺めの、艶かしい光を放つやわらかい二丘が。ただ大きいだけではなく、意外と小さめな乳輪を中心に色違いのクリームを塗られた様はわたしが見ても可愛く、かつ、いやらしかった。それでいながら、いわゆる感度というのも調教によって高くなっているらしく、ちょっと触られるだけで、彼女の官能を刺激するようなのだ。ナディーカさまは、幼さの残る美しい顔に常となっている悪戯な笑みを浮かべながら、その無防備に晒されたおっぱいをときに撫ぜ、ときにはこちょこちょとくすぐり、そして最後には、
「あらー、クリームが余りそう」
と言って、直接ぺろぺろと舐めていた。
「くふンっ‥‥。くふうううううん‥‥。――はンっ‥‥!」
 リリアの嬌声には、次第に甘みから必死さのようなものが感じ取れてきた。
(この娘は、本気で感じてしまっているのだ‥‥)
 これが調教というものの成果なのかと、わたしは複雑な思いに捉われた。姫さまのご趣味を邪魔する気はなかったが、これであの男の株が上がるのがいやだった。株――権勢が。
(姫さまの心を捉えて、このアグラウラで何をする気なのか――)
 得体が知れぬ男だった。わたしは、提げている細剣レイピアの柄を握りしめた。
 別に、ここで何かしようというわけではまったくない。ただ、頼れる物には頼らねばという思いがあった。この仕草は、なかばわたしの癖のようになっている。この細剣レイピアは、ただの飾りではない。歴史が込められているのだ。
 わたしが所属する、護衛隊の話になる。少し、ややこしい話だ。


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