強い気持ち・強い愛-8
どんな風に好きな娘を求めればいいのか、あれこれ考えては結局行動に移せなかったヘタレな俺だったけど、ようやくわかった。
答えは至ってシンプルで、自然に、としか言いようがない。
俺のTシャツを、白くなるくらい握った手が、彼女の頬を伝う涙が、そして消えてしまいそうなくらいか細く俺の名前を呼ぶ声が、俺を一歩前に進ませてくれる。
沙織の背中に回した手をそっと緩め、頬を撫でてやる。
涙を拭うように、優しく撫でていると、沙織の大きな瞳は、俺の顔を捉えた。
たくさん泣いて、真っ赤になった瞳。
その中に映る俺もまた、男のくせにグスグス泣いていてカッコ悪くて、ついつい可笑しくなる。
フッと小さく笑えば、沙織も目を細めて笑って、そして次の瞬間、
俺達は唇を重ねていた――。
キスだけなら何度もしているけれど、今まさに重ねた唇は、すごく久し振りのように感じて、ゾクゾクと背中が粟立つ。
触れては離して、角度を変えてはまたついばむようなキス。
沙織のプルンと弾力のある唇をそうやって食むように触れているうちに、彼女の指が俺の腕にすがるように掴んだ。
「……ん」
唇から漏れる、艶っぽい吐息と、腕に食い込む爪。
それだけで身体の奥がジンジン疼いて、ソワソワ落ち着かなくなる。
多分沙織のそういう反応の一つ一つが銃爪になっているんだろう。
ほんの少し空いた唇の隙間に侵入して、舌を絡ませながら、ゆっくり沙織を布団の上に横にさせ、そっと覆い被さる。
沙織はそんな俺をジッと見つめていたけれど、俺が、
「いいか?」
とだけ訊ねたら黙って頷くのだった。