ためらう理由-5
客も少なく落ち着いた感じの喫茶店。私は紅茶と、期間限定で出してるプチドーナツを性懲りもなく躊躇の欠片もなく注文し、巴ちゃんはコーヒーを頼み。
「いやぁー、渋いねぇー、コーヒーは奥が深いんだよ。」
「あはは。」
それからコーヒーを一口した所で本題に入る。
「彼を誘うって本当?動物園に?」
「そうっ!」
テーブルに1枚のパンフレットを置き、それを手に取り広げ見る。
「デートといやぁ遊園地に水族館に動物園しょ!」
「そ、そ、そんなぁ!行き成り彼を誘ってデート、だ何て無理だよぉ。」
案の定顔を真っ赤に染める。
「だぁーいじょーブイッ!んなモン判ってらぁ。」
「それじゃー。」
「行き成りアンタとアイツを二人っきりにさせやしないよ…。最初は私や友達も一緒だから…。して良いタイミングで離れるからさ。」
「ううー、でもぉー。」
「頑張れぇー、緊張するのは判るけど。」
確かにそれもあるが。巴ちゃんは、彼の事を…、さっきも何故かアイツって。
「そりゃー私も頑張るよ、でも、巴ちゃんはそれで良いの?」
「えっ?何が…。」
「……。」
気付いてないのか?それともシラを切って。
「…まぁとにかくやってみろ、何なら私アイツに電話してやろーか?デート、上手くやんなよ?一緒に色んな所を回って、食事何とかも、あーでもアイツ札つきの守銭奴だからなぁ…。」
何か頭上に?マークが浮かぶ、電話?守銭奴?彼女も私と同じなんじゃないの?
「…何だろ、そういう話をされたら急に心臓が。」
「なんやの!さっきは頑張るゆーたさかいにぃっ!」
何故急に関西弁?あぁ私ってホント駄目。
「まぁ、確かに友達付きとはいえアンタには少々荷が重すぎるか?」
「ゴメン……。」
「どーすっかなぁー。」
腕を組み、腰を背もたれにかけ、深呼吸をする。
「あれ?巴じゃん。」
「ん?あぁー連。」
連と呼ばれるうちの学校と同じ制服を着た黒髪にカールの掛かった少年。その人が知り合いである巴ちゃんを見かけ声を掛ける。
「あ、もしかして君が柊さんかい?」
「えっ?あぁはい!」
「ふふ、巴から聞いたよ、とっても可愛い親友が出来たって。」
「……。」
「あぁ自己紹介がまだだったね。僕は連、一条連…宜しく!」
優しそうな顔で、穏やかな口調でそう話す。そんな彼を巴ちゃんも安堵の表情で見つめ。
「所でどうしたの?何か深刻そうな声を出してたけど。」
「やだ!聞こえてたの?んもー、あのね実は…。」
そう話し、躊躇なく巴ちゃんの横に座る。