風呂上がりの夜空に-9
「ご、ごめん!ごめんなさい!」
形勢不利とみたか、シホは早々に白旗をあげつつ抵抗した。
だが華奢な弟と見くびっていたユウジもやはり男だった。高校生ともなれば体格以上に筋力差がある。
「ごめんってば!お姉ちゃんが悪かったから」
だがユウジはやめなかった。
Tシャツの縫い目がビリリと音をたてた。
ほどなくしてユウジは姉の上半身から、引きちぎるようにしてTシャツの残骸を剥ぎ取った。
「いやぁ・・・」
か細い腕を交差させ、丸みを帯びたなだらかな肩を抱くようにして、シホは剥き出されたバストを隠そうとした。
「へー、隠すんだ。さっきは風呂でも覗けば?なんて言ってたクセに」
「や、やっぱ恥ずい・・・」
「知るか!」
ユウジの逆上は止まらなかった。
いや、本人も気づいてないが、散々からかわれていた身の上から一転、あべこべに苛める側になった状況に異常な昂りを覚えていた。
あの姉がいま、半裸にされて羞恥に震えている・・・。
本人も自覚もしてなかった嗜虐的な興奮に煽られて、ユウジはさらなる所業にでた。
「駄目っ!それは・・・」
ユウジはジャージに手をかけた。指はショーツにもかかっていた。
シホは胸元を隠していた腕をほどき、片手でずりおろされようとするジャージを抑えた。