風呂上がりの夜空に-3
「親が甘すぎるんだよな、うん」
世間で言うところの共働きで、とりたてて貧乏というわけではないが、良家のお嬢様、お坊っちゃまという身分ではもちろん、ない。
要するに放任主義の両親が放任しすぎて、とんだ生活無能女子ができあがってしまったのだった。
「よし、今日こそガツンと言ってやる」
買い物袋をさげた拳をぐぐっと握りしめ、ユウジはかたく心に誓った。
ただし・・・。
夕食の片付けをして、そのあとちょっとした用事が済んでからだ。
観たいテレビがあるのだった。
結果的にはそれが災い(?)するのだが、この無駄に女子力を向上させている男子高校生には、まだそれを知る由もなかった。
* * * * * * *
「ごちそうさまー」
シホが元気よく手を合わせた。
まったく日がなゴロゴロしているくせに、なんでそんなに食欲が湧くんだか。
「風呂、先に入っちゃってよ。沸いてるから」
「お、手回しがいいじゃないか。オヌシまた腕をあげたな。主婦として」
ふたり分の食器を運ぶユウジは、もう返事をするのも面倒くさかった。
かつて、どれほど姉貴が浴槽から湯を溢れさせたことか。
「それと、俺みたいテレビあるから」
「なに?エッチな番組でもあるの?」
「・・・違うよ」
「我慢することはないんだぞ。それが青春というものだ」
「意味わかんないし」
「なんなら美しい姉の入浴でも覗くかね?」
「覗かねーよ!さっさと行け!」