風呂上がりの夜空に-10
だが体格差がある上に、バストを隠すために片腕を残していては勝負にならなかった。
敵わないとみたかシホは背中をみせて、その場から逃げようとした。
やや汗ばんだ肌に肩甲骨と背筋が浮いて妙に艶かしく見えた。
その姿勢がシホに災いした。
胸元とジャージの前を抑えているので腰のあたりが無防備だった。
ユウジはジャージの後ろを引っ掴むや、膝裏のあたりまで一気にずり下ろした。
「や、ああッ!」
指は下着にもかかっていた。
丸みをおびて盛り上がるヒップの双丘が目に飛び込んでくる。
すべすべとした肌が隆起する狭間に、くっきりと刻まれた割れ目が見えた。
シホはもう胸を隠している場合ではないと思ったか、両手でずり下ろされたジャージと下着を引っ張りあげようとした。
そうさせまいとユウジもジャージを引っ張る。
支えを失ったシホのEカップが、もがく身体にあわせて弾むように揺れた。
姉弟で引っ張りあうジャージと下着は、シホの膝下あたりでひとかたまりになっている。
既にこの時点でシホは、ほぼ全裸と言ってよかった。
その下腹部には恥毛が黒々とした翳りをみせている。
ジャージを引っ張りながら、ユウジの視線はその自然と部分にいった。
「や、いやッ・・・」
視線に気づいたシホが、その部分を隠そうと両手をやって勝負はついた。
「姉貴・・・」
見下ろすユウジの手に、奪い取ったばかりのショーツが握られていた。
自分をからかっていた姉は、いまや一糸まとわぬ全裸にまって、胸と下腹部を隠しながらうずくまっている。
心の片隅に罪悪感はあった。
が、それよりずっと大きな部分を、異常な興奮が占めていた。
或いは、禁忌を破ろうとしていることへのスリルかもしれない。
何にせよ、ユウジはもう自分を抑えることができなかった。