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蒼虫変幻
【SM 官能小説】

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蒼虫変幻-9

ナイフの先端を彼女の肉唇の縁に合わせるようになぞると、物憂げな淫唇がたおやかに弛み、
翳りを溜めた陰部の形を露わにしてくる。秘唇の割れ目に沿ってゆるやかに蠢くぼくのナイフ
が、割れ目を啄むようにえぐったとき、彼女の腰がピクリとわずかに撥ねたような気がした。
ぼくはナイフを手にした指を強ばらせながら彼女の中に潜む自分の幼虫に想いをめぐらせた。

ぼくの中で生まれたとき以上に蒼みを増した幼虫が彼女の蜜に濡れ、柔らかな肉襞に抱かれな
がらぼくを笑っているような気がしたとき、ぼくは息苦しくなるような烈しい焦燥を感じた。

ふるふると幼虫の胴体が小刻みに震え、あの女のしなやかな白い肢体が悩ましくよじれていく。
ぼくの咽喉がからからに渇いてくる。そのときからぼくは、彼女の肉体に烈しい嫉妬を覚え、
青いざくろの小さな実にナイフを突き立てるように、薔薇色の花芯をナイフで切り裂いたのだ。

ざくろの実は彼女の淫豆であり、濃艶な色を湛えた花弁は彼女の陰唇。瞳を閉じたぼくの瞼の
裏に、ナイフが突き刺さった彼女の熟れた淫豆からとろとろと果汁が滴り、裂かれた性器の
割れ目から溢れた蜜液がまぶされていく。

裂かれた肉の苦痛で充たされた彼女のからだから、ぼくがこれまで見たこともない、みなぎる
ような光が溢れてくる。その光はぼくの蒼ざめた幼虫を無残に犯し、茫漠たる蒼穹に葬ろうと
していた。ぼくの中に潜む幼虫が孕んだ瑞々しく澄んだものを、彼女は容赦なく踏みにじり、
無慈悲に虐げていく。



うなされるぼくの嗚咽がどこかで木霊のように響いているような気がしたとき、いつのまにか
寝入ってしまったぼくは、ふと目を覚ます。ぼくの背筋にねっとりとした汗が冷ややかなもの
を含んだまま滲み出していた。ふたたびぼくが眠りについた場所は、ボート小屋のベッドでは
なく、いつのまにか湖に漕ぎ出したボートの中だった。ぼくはおそらく夢の中に現れたあの女
に操られるようにこの湖にボートを漕ぎだしたのかもしれない。

漆黒の暗闇に包まれた湖の奥から獣の鳴き声が木霊し、微かに舞い降りてくる雪の音さえ聞こ
えてくる。森閑とした湖のなかほどあたりにいるぼくのまわりで不意に冷たい風が止まる。

鏡面のように静まり返った湖の水面から湿り気を含んだ白い靄が、まるで陽炎のように湧き上
がり、生あたたかい空気が頬を撫でたとき、あの女の人がふたたびぼくの前に現れた。そこに
は、まるで人魚のようにからだを横たえた全裸のあの人がいたのだ。

ぼくは思わず息をとめる。しだいに胸の動悸が高まってくる。彼女の白い裸体を淡い光がゆっ
たりと包み込んでいた。しっとりと濡れた髪が肩に垂れかかり、ゆるやかな線が肩甲骨から微
かに弛んだ胸のふくらみへ続き、鳩尾から下腹部へと続く雪白の肌には蒼い翳りを溜めていた。


彼女の乳首から漂う微かな甘い匂いが、ふと、ぼくの鼻先に漂ってきたような気がした。
その匂いは、ぼくのからだの奥をむず痒くするくらい擽り、なぜか息苦しくさせる。それが
なぜなのか、ぼくにはわからなかった。空虚な憂いを瞳に溜めた彼女は微睡むようにボートの
上に横たわり、靄のすき間から洩れてくる淡い光に身を委ねている。

そして彼女がからだを横たえたまま、両膝だけをゆっくりと折り、恥じらうこともなく太腿の
付け根をゆるやかに開いたときだった…。真っ白な太腿のあいだに、無数の黒い蜘蛛が重なり
あったような陰毛の中に潜んでいたのはぼくの幼虫だった。真珠色の皮膚をした幼虫と絡み合
う女の陰毛は、神秘的なアラベスクを描いているかのようにさえ見える。次々と変幻する蒼い
光をまぶした幼虫は、まるでぼくを嘲笑し、屈辱の沼底へと突き落すかのように蠢き、猛々し
い息吹に打ち震えていた。



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