私を奪って、ご主人様-6
ベッドの上で、春菜と龍は下着を着け直して抱き合っていた。春菜は龍の胸に頬を当てて、まだ冷めやらない身体の熱さを味わっていた。
「龍くん」
「なに? 春菜さん」
「ひどいよ」春菜は恥ずかしげに顔を赤くして上目遣いで龍を睨んだ。
「どうしたの?」
「終わった後にまたイかせるなんて、反則」
「そんなつもりはなかったんですけど」
「嘘」
龍は悪戯っぽく笑った。「やり過ぎだった?」
「ううん。すっごく良かった。でも何度もイかされて、もうへとへと……」
「ごめんなさい」龍はまたそっと春菜の背中に腕を回した。
「だめだからね、もう」春菜は焦ったように言った。
「春菜さんの身体、柔らかくて抱き心地いいんだもん」
「そう言えば、」春菜は背中の龍の腕を解きながら言った。「いつの間にゴムつけてたの?」
龍は春菜の横に仰向けになり、右腕を伸ばして彼女の頭を乗せさせ、顔だけを横に向けた。「春菜さんのおっぱい舐めてる時だよ」
「気づかなかった。私」
「気づかれないように装着するのが、男の粋だって父さんに何度も言われたんだ」
「ケンジさんに?」
「そう」
「彼らしいね。ホントに素敵な紳士だから」春菜は嬉しそうに笑った。「龍くんもケンもケンジさん譲りのジェントルマンだからね」
「そうかな……」龍は頭を掻いた。
「キスも出し方もケンジさん譲りなのかな」
「え? 何それ……」
「ケンも龍くんもそうだから、きっとケンジさんも素敵なキスしてくれるんでしょうね」
「春菜さん……まさか……」
「うふふ、いつかケンジさんに抱かれたいな、私」春菜は恥じらったように頬を赤らめた。
「もう、春菜さんってば……」龍も恥ずかしげに声を落とした。
腕枕をされたまま春菜は顔を上げて龍の鼻の頭を人差し指でつついた。「そうそう、私ね、高校生三年生の時、真雪がなんかとってもかわいくなってるな、って気づいたんだよ。夏輝と一緒に言い合ってた」
「真雪が?」
「そうでしょ? だって、真雪があなたと恋人同士になった頃なんだから」
「そ、そうだったの?」
「人を好きになると、女の子ってすっごく魅力的になっていくって言うけど本当なんだ、ってその時思ったよ」
龍は照れたように頭を掻いた。
「あの頃から真雪は今みたいに龍くんにたっぷり愛されてたんだね」春菜はにっこりと笑った。「真雪、本当に幸せそうな顔してたもの。いつも」
「そういう春菜さんもさ、ケン兄とはすぐにラブラブになったんでしょ?」
「あの人がリードしてくれたおかげなんだよ。何も知らない私が思い切って抱いて、ってお願いしたら、彼、ほんとにすっごく優しく抱いてくれたんだよ」
春菜は幸せそうに笑った。
「今もそうなんでしょ? ケン兄」
「うん」
「ごちそうさま」龍もにっこり笑った。