たったひと文字違うだけで-1
昼休みの廊下で、ゆっこが数学の若林先生にこんなことを言っていた。
「やだ〜っ、先生ったら、皮かぶりすぎですよ〜」
ゆっこは「買いかぶりすぎですよ」と言いたかったのだろうが、「かいかぶり」と「かわかぶり」では、はずかしいくらいに大きく意味が違ってくる。
言葉って面白い。
たった、ひと文字違っただけで意味が違ってくる。
こんな例もある。
以前、兄貴の部屋で見つけたエロマンガで読んだんだけど、
「可愛いマンコしてるじゃないか」って言葉は、
「可愛いチンコしてるじゃないか」になると、ボーイズラブになるし、
「可愛いウンコしてるじゃないか」になると、SMになる。
「お前のマンコ美味しい」も同様で、
「お前のチンコ美味しい」はボーイズラブで、
「お前のウンコ美味しい」は完全にヘンタイSMになる。
言葉って本当に面白い。
さて、その日の放課後。
寄り道して渋谷の街をブラブラしていたら、道玄坂をのぼっていくゆっこを見つけた。
ウキウキして何だかすごく楽しそう。
道玄坂をのぼった先にあるのは円山町のラブホ街だし、これは男に違いない。
そう思ったあたしは相手が誰かを確かめるために後をつけた。
相手はすぐにわかった。
ホテルの前で待ち合わせしていたのは、何と若林先生だった!
ルンルンでホテルに入っていくふたり。
教師と生徒って、まずいと思うけど……!
次の瞬間、昼休みにゆっこが言っていたことを思い出した。
「やだ〜っ、先生ったら、皮かぶりすぎですよ〜」
もしかしたら、あれは言い間違いではなかったかもしれない。