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籠鳥 〜溺愛〜
【女性向け 官能小説】

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9章-2



 美冬は何度も小さく達しては、鏡哉にこすりあげられまた快感に打ち震える。

「ああ、美冬……たまらない――」

 鏡哉の切なそうな声が鼓膜を震わし、また美冬は鏡哉のものを締め付けた。

 一層深く鏡哉が貫いたと思ったら、

「ああっ……!! くっ!」

 鏡哉は苦しそうな声を上げ、美冬の中に解き放つ。

 熱い何かが美冬の奥深くを満たす。

「あ、き、鏡哉さ……!」

(鏡哉さんのが、私の中に――!)

 そう思ったときには、美冬はまた意識を手放していた。







 何度夢と現実を行き来したのだろう。

 気が付くと美冬は鏡哉の膝の上に乗せられ、下から突き上げられている。

 コツコツと鏡哉の雄の先が美冬の中をノックする。

 痛いほどの快感を与えるそれに、美冬はしょっぱい涙を流しながら耐え、溺れる。

 もう二人分の体液でぐちゃぐちゃのそこはもう二人の境界線がわからないほど、溶け合っているようだった。  

「あぁ……ぁあん! ……はぁ」

 もう思考もドロドロで言葉にならない。

(鏡哉さん! 鏡哉さんっ!!)

 愛おしくて、恋しくて、何が何だか分からない。

 美冬は甘えるように鏡哉の胸に頬をこすり付ける。

 それに気が付いた鏡哉から髪にいくつものキスが落とされる。

 体を繋げることで、少しでも自分の気持ちが届けばいいのに――美冬はそう思いながらまた意識を手放した。





 さんざん美冬を抱いて自身も疲労困憊で眠りについていた鏡哉は、一本の電話で目を覚まされた。

 腕の中にはぐったりと眠っている美冬の裸体があった。

 眠ったままの美冬を起こさないよう注意深く抱きしめていた腕を抜くと、リビングの子機で電話に出る。

『社長! 何度も携帯に電話をしたのですよ』

 第一声から不満の声を漏らした相手は、秘書の高柳だった。

「今何時だ?」

『もう昼の13時です。15時からの役員会議には出席していただきます。今、そちらに向かっておりますので、急いで支度をしてください』

「……分かった」

 役員会議では鏡哉が独断で進めている買収のせいで、どうしても抜けるわけにはいかなかった。

 気だるい体に鞭を打ちバスルームに入り、出勤の用意をした。

 ふと気が付いて美冬の学校へ電話をかける。

 美冬が今日休む旨を担任に伝えると、心配そうな返事が返ってきた。

「鈴木さん、大丈夫でしょうか。もう4日目ですものね」

(……そんなに休んでいたのか。どうして――)

「………」

「新堂さん?」

 急に沈黙した鏡哉に担任が不思議そうに問い直す。

「すみません。来週には登校できると思いますので」

 そう言って鏡哉は電話を切った。

 美冬の寝ている客間へと足を向けると、美冬はまだ気を失ったように寝ていた。

 『会社に行ってくる』と書置きを残すと、白い額に口づけを落してマンションを後にした。






 鏡哉がマンションを出た数時間後、美冬は意識を取り戻した。

 ベッドから這い出そうとしただけで、全身の関節に鈍い痛みが走る。

 いったい何時間、鏡哉に抱かれていたのだろう。

 最後のほうは全く記憶になかった。

 窓からはレースのカーテン越しに西日が差しこんでいた。

 ベッドサイドのサイドテーブルに目をやると、会社に行ってくるという書置きが目に入った。

 痛む体をなんとか鞭打って、ベッドから出ようとしたその時。

 どろり。

 自分の体の中心から、何かがあふれ出す。

「きゃっ!」

 そそうをしたのだろうかと焦って確認すると、そこからは白濁した粘液が零れ落ちていた。

「……鏡哉さん、の?」

 すぐさま『妊娠』という言葉が頭の中を駆け巡る。

 しかしすぐに美冬はそれを否定した。

 排卵日については保健の授業で習ったことがあった。 

 美冬は生理を終えたばかりだった。

 シーツをはがして体に巻きつけると、美冬は重い足取りでバスルームへと向かった。

 だるさと痛みで時間はかかったが身だしなみを整え、ベッドのシーツを取り換える。

 最後になにか不備がないか確認すると、美冬はリビングを向き直り誰もいないそこへ向かって深々とお辞儀をした。  

 そして迷いのない足取りで部屋を後にした。







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