恋の始まり-1
窓の先から春を知らせる樹を目にする。
「もう、こんな時期か…。」
狭いアパートで一人ぽつんとそう呟く彼女。
それからハッと我に返り、自分が部屋の整理整頓中なのを思い出し、勢い良く立ち上がり作業を再開する。目線をぐるりとさせ溜まった雑誌の方を向こうとしたその時。
「あら?」
整理に夢中で、自分でも気が付かない内に茶色い封筒に入った中にある写真をバラけていて…。その中にある一枚の写真に目が留まり。
彼女はまたも作業を中断し、その写真に手を伸ばす。
するとそこには、4人の少年少女達の楽しそうな姿が写っていた。
「あたる……君。」
「お前、オモロイなぁ!」
夕暮に照らされる彼の笑った顔が、不意にフラッシュバックする。