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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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恋の始まり-6

「底辺はaの9で…、そうそうなーんだ出来るじゃんっ!」
「……。」

彼が教えてくれてから解ける筈がないと思っていた難問がスラスラと解け出してきて。

「すごーい、頭良いんだね、君。」
「俺、答えは言ってないケド。」
「えっ、まぁそうだけど。」
「問題を解いたのは悪魔でお前だ、俺じゃない。」
「でも。」
「こういうのは気持ちの問題なんじゃないのか?自分は出来ないって思うと一生出来ないし、逆に自分は出来る、こんな問題朝飯前だ…って思えれば大した事はねぇよ。」

確かに、私はテストを行った時も、こうして補習をしてる時も、乗り気で鉛筆を握っていた訳ではない。

私は彼に勇気づけられたのだ。

そして補習を進めつつ、不思議とこんな事を口にする。

「私、根っからのダメ人間なんだね。」
「へっ?」
「友達は居ないけど、勉強は出来る、そう思ってたのに、これじゃー。」
「……、そこ繰り上げる。」

彼は私の言葉に耳を傾ける様子はなく、淡々とテストの穴埋めの為、教授を行う。


それから時計の針が90度程回転した所で。

「んぅーーー、でぇーきたぁーっ!」

ようやくテストを埋め、開放感に喜びを感じる、これで自分は少なくとも勉強は出来る…
という概念は何処かへ置いていき。

「やったなっ!」

子供のように無邪気に笑う彼。

「うん!貴方のお蔭よ、有難う。」
「いいっていいって本当に、友達が部活終えるのを待ってただけだし。」

廊下は微妙に寒いんだよなー、と呟き椅子を戻し、役目を終えたように、早々にドアに手を触れる。

「お前さぁ、多分ダメ人間じゃないと思うぜ。」
「えっ?」

突然、さっきの返答をし出す彼、後ろを振り向く事はなく。

「それなら勉強は出来ても、周りの連中を見下す奴の方がよっぽどダメ人間じゃん。」
「……。」
「友達は多くてもロクに努力しないでいい加減な奴の方が、それこそ。」

何処か言ってる意味が解らない、でも、私の事を勇気づけてくれてるのは伝わる。

「要するに…さ。」
「?…。」

ドアを開き、やっと振り向き、こう言い放つ。


             くよくよすんなって事っ!


「っ!……。」

ニコッと白い前歯を見せ、そう言った。





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