恋の始まり-2
平成22年、春4月、札幌。
教室内で、それぞれ気の合う友達同士で他愛もない会話をする光景をぼんやりと目に止める私。
「はぁー。」
窓側の席で、机に肘を付き手の平を頬に置き、誰と群れる事なく一人ポツンとする。
私、柊若葉は孤独を感じていた…。高校入学と言っても私は親の都合で東京から引っ越して来たのだ、中学卒業を期に。
だからこそ黒板の上に立ち皆の前で自己紹介などをしなくて済むのだ、それは引っ込み思案な私とっては都合良かった。
他のクラスメートはすぐに群れを作れてる、そりゃそうだ…中学から一緒だという子も沢山いる事だし…。
入学から早一カ月、私は何を楽しみに生きれば良いのだろうか…。
不意に絶望を感じる、しかし。
ある日、無人の教室で一人の少年と忘れられない経験をする事を、この時の私には知る由もなかった。