も-1
「あの・・・私、石島さんの事はサークルの先輩ってことぐらいしか知りませんし」
「だな」
「顔見知り程度の人とエッチするほど良い身体してませんので」
慌ててお断りする私にプッと笑って
「はい」
と小さい紙を差し出した。
名刺だ。
「横浜ホールディング、外食営業部主任」
自分の肩書きを言うと私の手の中に名刺を押し付けた。
「これが俺の今の身分ね。会社の規模はそこそこ大手。
出世は順調。性格はこれから知ってくれ」
「・・・・あの?」
「怪しい奴じゃないから。セックスしても安全だろ?」
「いや・・・それはどうでしょう?」
「というと?」
「人には見かけによらない性癖がありますから」
真面目な顔をして言う私に大声で笑いながら
「確かに性癖は人それぞれあるだろうけど。
特に変わったものではないと約束するよ」
なんて笑うけど。
「そんなの、自分は変わった性癖です。なんていう人はめったにいないと思います」
「だな」