翼をください-1
一人前になれますように。
リョウツゥが『始まりの泉』に願ったのはそれだった。
高い山々がそびえる緑の地域では、翼を持つ緑の民が暮らしている。
山の中腹に家を構え、陽当たりの良い斜面で樹果を育て、あまり陽が射さない場所では茸類を育てていた。
険しい崖っぷちを移動するのに翼は必需品。
緑の民は小さい時から飛ぶ練習をし、10歳になる頃には山々を飛び回れるようになるのが普通だ。
しかし、リョウツゥは16歳になった今でも飛ぶ事が出来なかった。
飛ぶ事が出来ないと移動も困難な地域。
小さい頃なら親が運んでくれたり出来るが、身体が大きくなると無理だ。
元々飛べない他の民なら専用の籠に入ってもらい、飛び手が2人で運ぶ事も可能だが、翼を持つ者にはそんなに優しくはない。
いくつになっても飛べないリョウツゥは『お荷物』『厄介者』として弾かれていた。
そんなリョウツゥに里の者は勿論、両親までもが辛く当たった。
学校に行くのもままならず、山の陰で飼育している菌類の世話を押し付けられたのだ。
山の陰はめったに陽が当たらず、湿気った空気が漂う場所。
ここは年老いたり翼が傷ついて飛べなくなった者、時には罪人などが罰として送られる、通称『陰送り』と言われる場所だった。
すえた臭いに湿気った空気は羽毛に絡みつき、身体を重くさせた。
しかし、翼を出していないと険しい斜面ではバランスが取れないのだ。
毎日毎日、暗い場所での作業は時間の流れを狂わせ、気持ちも滅入らせた。
唯一の気晴らしといえば、夜の営みだった。
「ん……む」
「ああ、巧くなったなリョウツゥ」
胡座をかいて座った男の股間に顔を埋めていたリョウツゥは、ゆっくりと頭を上げる。
「ふぁい」
紅潮した頬にとろんと潤んだ瞳のリョウツゥは、濡れた口元を舌で舐めた。
30代半ばの男は優しく微笑むとリョウツゥの頭を撫で、その手を頬まで下ろすと指で口元の残りの唾液を拭う。
リョウツゥは気持ち良さそうに目を閉じて、その指の感触を楽しんだ。
「さ、続けてくれ」
「はぃ」
男の言葉に従い、リョウツゥは再びそそり勃った肉棒を頬張る。
「んむ」
まだ女として成熟してないリョウツゥにとって、成人男性のソレはとても大きかった。
口にいっぱいいっぱいになったモノに必死になって舌を這わし、入りきらない部分は細い指で扱く。