‘剣’と‘魔法’の世界〜まほうつかい〜-1
吟遊詩人は歌う――ここは剣と魔法の世界、と。
でもそれは遠まわしに言ってるだけで、実は‘股間の’剣と‘性’魔法でエッチな魔物と戦う――そんな世界のおはなし。
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王都を出発してから一日と少し――広い草原を北へ北へと、私は次の町を目ざしていた。
ここまでは、出てくるモンスターもスライムにベスにドラキーとかわり映えしなかったけれど、そろそろ強敵が出そうな予感。
そう思って進んでいくと、草原の向こうに人影が見えた。
・・・旅人か商人、はたまた私とおんなじ勇者だろうか?
でもどれにしたって、草原の真ん中につっ立ってるのはヘンだ。まるで、私を待ちかまえるみたいに。
少し警戒しながら近づいていくと、格好もどこかヘン。灰色のローブのフードを目深にかぶっているから、表情はうかがい知れない。左手を、なぜかこちらに突きだしてる…まるでそこから、今にも魔法がほとばしりそうな――
「うーん、見かけない顔ね・・・新米勇者、ってトコかな…♪」
いいカモを見つけたと言わんばかりに、語尾に喜色が浮かぶ。でもその色はすぐ消えて、次に口からこぼれ出したのは、低い詠唱の声だった。
新手のモンスター――直感的に理解して、私はあわてて距離をつめようとする。
その姿や行動からして、敵はまちがいなく魔法タイプ…そういうタイプと‘戦った’経験のない私としては、詠唱が終わらないうちに、一気に接近戦に持ちこみたい。
とっさにそう判断した私は、まほうつかい目がけて一直線に駆けていく――はずだった。