不良少年-4
“病院”は捕らわれた路地から歩いて7、8分のところにあった。
病院とっても既に使われなくなった廃院で、ひび割れたり崩れかかったりしている壁を建設業者の黄色い柵がぐるりと囲み、正面エントランスの扉は鎖で封印されていた。
ちょっと近寄りがたいような雰囲気すらあるが、少年達は慣れた様子で建物の裏にまわると、駐車スペース横にある搬入口から内部に入っていった。
不気味な外観と違って内部はそれなりに手入れがしてあり、お世辞にも清潔とはいえないないが、誰か頻繁に出入りをしているらしい使用感があった。
薄暗い通路を抜けて突き当たりの一室に入ると、医療機器などが取り払われてがらんとした室内に、ベッドがひとつ据え付けてある。
ケンジが入口脇の壁にあるスイッチを押すと、瞬きながら電灯がついた。
かつての電気系統が生きてるとは思われないので、近所の電柱か家屋から線を引っ張り、電気をくすねているのだろう。
「寝かせろ」
ナオキは仰向けにされ、両腕を大きく広げた格好でベッドに縛りつけられた。
ケンジはナイフを取り出した。
「動くなよ」
驚愕するナオキにお構いなく、ケンジはシャツの裾から刃を入れて無造作に切り裂いていく。すぐに着ていたものは切れぎれのぼろ布となって、白い肌をのぞかせる上半身にまとわりつくだけになった。
ケンジはナイフを咥えると、ナオキのジーンズを引き下ろしにかかった。すぐ間近に刃物をみたナオキは恐怖の余り動けなかった。
下半身を覆う下着も、あっさりナイフが断ち切った。
「服はあとでくれてやるよ。よく似合うやつをな」
「な、何を……する気……」
「何をって、アレだよ。味見だよ」
そう言って笑うケンジに、ナオキは呆然とした。
ルームメイトにレイプされ、のがれて部屋を飛び出した。
それなのに、はやくも一糸まとわぬ姿にされて、身体を隠すすべもなく裸身を晒している。
そしてアキオによって全裸に剥かれた時と違い、今度は多くの目が集中していた。
逃げ出したいほど恥ずかしいのに、身動きひとつできなかった。