浴室での戯れ-4
「ほら、どうした?」
怪訝に思って顔を覗き込むと、千尋が満面の笑みを浮かべて言った。
「お姫様抱っこ〜」
可愛かった。
「しょうがないなあ」
満更でも無かったので、千尋をヒョイと抱き上げた。
「やったやった、嬉しい」
はしゃいだ千尋をたしなめた。
「こら、暴れるな、落ちるぞ」
千尋が小柄でよかったと思った。
直ぐに大人しくなった千尋が、そっと目を閉じた。オレは千尋の期待に応えるように素早くキスをした。
「やっぱりファーストキスはこんなのがよかったなあ」
やっぱり気にしてやがる。
「廊下で抱かれてするのがいいなら、処女はここで駅弁ファックで奪ってやるぞ」
知ってるかな?
「駅弁?やだやだ、一生引きずっちゃうよお」
あはは、知ってやがった。
子供のように足をバタバタ揺らす千尋を、もう一度キスで大人しくさせた。そして幸せそうにオレを見上げる目を見つめながら、ゆっくりと寝室に向かった。
傍から見れば『小娘を相手にいい大人が』と思うだろうが、オレはこの他愛もない行為に、他の女とは味わったことのない幸せを感じていた。