プロローグ 〜 美穂さんとの出会い-2
美穂さんはエスプレッソマシンの前に立つと、鮮やかな手つきで、豆を挽き、エスプレッソを抽出し、そしてシューっという音を立てながら、ミルクを温めた。テーブルにカップとミルクジャグを持ってくると、僕の目の前で綺麗なラテアートを描いてくれた。やはり、ここはカフェかもしれない。それから三時間はエスプレッソ話に花が咲いていたと思う。でも、この時は単に珈琲の趣味が合うというだけの隣人でしかなかった。
話は盛り上がっていたが、珈琲の利尿作用なのか、トイレに行きたくなった。隣人のトイレを借りるのも気が引けるので、部屋に戻ろうとすると、美穂さんは「わざわざ部屋に戻るなんて、、、気にしないで、ウチの使ってよ」と言うので、借りる事にした。
ここのアパートは風呂・洗面・トイレという水回りは狭いけど独立した部屋になっている。その部屋に入ると、正面に洗面所と洗濯機があり、右がトイレの扉、左がお風呂の扉になっている。リビングの扉を閉め、廊下という程の長さもないが、左側の扉をあけ、水回りの部屋にはいると、さすがにそこは生活感を感じられてホットした。洗面台には、化粧品類が並んでいたり、ドライヤーがあったり、この部屋がカフェでは無い事を思い出させる。洗濯機もあり、その横には・・・・
ん?
洗濯物の沢山入った洗濯カゴが床に置いてあった。私がここのトイレに入る事を考えずに、隠し忘れたのだろうか。やっぱ悪い事をしたな。そう考えていても、やはり目は洗濯カゴを見てしまう。
なんと、一番上にパンティが置かれていた。おそらく彼女のだろう。それがすぐに洗濯前のものだという事も分かった。クロッチの部分が丸見えだったからだ。パステルブルーのパンティで、クロッチの部分の柔らかな白い綿。いや、生地は白だけど、茶色に近い黄色の筋が描かれていて、透明なテカテカしたもので覆われている。さらにお尻の部分はかすかに、でも明らかに茶色に染まっていた。
僕は急いでトイレに駆け込んで、おしっこをしながら、今見たものを考えた。血がかーっと頭にのぼってくるのを感じた。でも、どう考えても、気が付かなかったフリをする意外の方法は無いだろう。
その後も、珈琲の話題は弾んで、結局晩御飯もご馳走になってしまった。だけど、僕の脳味噌の半分は、彼女のパンティの事を考えていたに違い無い。翌日、隣のベランダをふと除くと、あの青いパンティが風に揺られていた。
それだけでオシマイ。そう思っていたけど、実は続きがある。いや、これが美穂さんとの始まりだった。次の日、日曜日もまた珈琲に誘われた。そして、トイレを借りると、また、今度は白のパンティが同じように置かれていた。次もその次も、毎週土日に美穂さんの部屋に言っていた訳ではないけれど、四回訪れて、四回ともきまって汚れたクロッチが見えるように洗濯カゴの上にパンティが置かれていた。
僕は頭が混乱してきた。パンティは最後に脱ぐから洗濯カゴの一番上になるのか、、いや、そもそも洗濯は週末の朝にするんじゃなかろうか、、今は午後だ。でも、美穂さんの家のはドラム式の洗濯乾燥機だし夜にだって洗濯できるよな。
それとも、僕に見せたいのか?汚れたパンティを??
ゴールデンウィークにさしかかり実家のある某地方都市に帰省したが、一度抱いた疑問は、あのパンティの汚れと同じく、私の頭にこびり付いて離れない。悶々としたまま一週間がすぎ、また自分のアパートへ戻って来た。そろそろ珈琲話のネタも付きかけていたので、また美穂さんに誘われたら何を話そうかという気持ちがあったが、もう一度誘われないかなと楽しみにもしていた。
美穂さんはまた誘ってくれた。僕は珈琲については饒舌だけど、一度ネタが尽きるとただの理系男子に戻ってしまい、なかなか話を盛り上げられない。
「ごめん、トイレ貸してね」
尿意を催した訳ではないけれど、席を立った。カゴに一杯になった洗濯物の上に、また汚れたパンティがある。僕はしゃがんでまじまじと観察する。最初にみたパステルブルーのパンティだ。ぼんやりと細い楕円形に茶色く染まっているのが分かるが、よく見ると、三本の筋になっている事がわかる。別に僕だってこれまでに何人かの彼女とお付き合いしてきたので、その染みが、ぼんやりと美穂さんの性器の形を描いている事はすぐに分かった。
そおっと手に取ってみた。そして臭いをかいでみる。つーんとする臭い。指で触ると、まだネバネバしていた。脱ぎたてか?
洗濯カゴをそおっとかき分けると、ブラジャーやブラウスやスカートの間に水着も見つけた。引き出してみると、シンプルな競泳用水着だった。
おっと、やばいあまり時間がかかると怪しまれる。