英雄-4
そして30分もすると、サクラノキセキはその場に倒れ込んだ。
「サクラぁ!」
拓は急いでサクラノキセキに走り寄った。
「サクラ…息がない」
そう、サクラノキセキはピクリともしていなかったのだ。
そして、サクラノキセキは無敗のままこの世を去った。
サクラノキセキの死を知った厩舎の人間は、悲しみに暮れた。
桜は一際大きな声をあげ、拓にすがっている。
「サクラは桜のために頑張り続けてたんだ」
拓は桜に諭す様に言った。
そこに、一頭の馬がいた。
名前はサクラノキセキ。
一人の少女のために全てのレースを制し、無敗のままこの世を去ったその馬は、まさに「キセキの英雄」だったに違いない。
─完─