美少女スイマー 羞恥の水着-1
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「絢菜ちゃん、今日から、部活に来てくれるのよね。」
放課後のチャイムが鳴るか鳴らないかのうちに、クラスメートの藤森美帆が机の所に駆け寄って来た。
「うん、行かせてもらうわ。よろしくね。」
美帆が話しかけた相手は、肩まで伸びたサラサラの黒髪と透き通る白い肌、ふっくらした頬に、愛らしく大きな瞳が印象的な、文字どおりの美少女だ。教科書をカバンの中に片づけながら、その美少女は柔らかな微笑みを浮かべてそう答えた。
彼女、速水絢奈は水泳界のニュー・ヒロインと呼ばれる背泳ぎの選手である。実力は国内ではトップクラスで、オリンピック代表にも手が届くと言われている。しかも、ルックスはアイドルばりの美少女スイマーで、最近は、その面からもマスコミの注目を集めるようになっていた。
「あなたみたいな人が来てくれたら、クラブのみんな、喜ぶと思うわ…」
「いいえ。私こそ、困っていたところだったもの。うれしいわ。」
眩しそうに彼女を見る内気な美帆に、絢奈は大輪の花のような笑顔を向けてそう答えた。
何もかも順調にいくかに見えた絢奈に、ピンチが急に訪れた。所属していたスイミングクラブが親企業の倒産で急に閉鎖になってしまったのだ。移籍を申し込んだ他の有力スイミングクラブが、彼女のライバル選手を抱えていることを理由に受け入れをしぶり、一月後に水泳選手権を控えている大事な時期に、まともに練習することもできなくなってしまったのだ。そこで、急きょ、彼女は高校の水泳部に合流して、練習することになったのである。
「本当は先に言ったらよかったんだけど…、うちのクラブ、ちょっと変わっているから…、我慢してね。」
上目遣いで絢奈を見ながら、ふいに美帆が、すまなそうに言う。
「えっ?どういうこと?」
「ごめんね、言っちゃダメなの…。行けばわかるから…。さあ、行きましょう。」
そう言うと美帆は、不審な表情を浮かべる絢奈の手を引いて、水泳部の使う更衣室へ向かった。
「あっ、こっちを着て、うちのクラブはみんなこれを着ることになってるの。」
絢奈がカバンの中から、水着を取り出そうとすると、美帆は慌てて別の水着を彼女に手渡した。それは、純白の水着だった。
「競泳で白って、めずらしいね…」
不審に思いながらも、素直に渡された水着に着替えようと、サポーターを手にした絢奈の手を美帆が掴んだ。
「あの…、サポーター着けちゃダメなの。そのまま水着、着て…」
「でも…」
競泳用の水着は生地が薄いので、黒や紺の水着でもそうだが、まして、白い水着だと透けてしまうのではないかと不安になる。
「言うとおりにして、お願い…」
ためらう絢奈に、美帆は真剣な表情で手を合わせて頼み込む。しかたなく絢奈は、裸の上に白い水着を着た。
「いやだ、この水着。映っちゃう…」
案の定、いや、思っていた以上に、それは恥ずかしい格好だった。その水着は生地が薄いばかりではなく、普通の水着のように胸や股の部分が補強されず、一枚布のままになっていた。それを、サポーターなしで着ているため、乳首のポッチがはっきりわかるのはもちろん、乳暈や下腹部の翳りまで、うっすらとだが映ってしまっているのだ。水着が濡れたら、どうなってしまうのかと心配になる。
「こんな水着を着て、プールになんか行けないわ。」
絢奈が怒ったようにそう言い、恥ずかしい水着を着替えようとした。すると、美帆が無言のままそれを妨げ、凄い力で彼女の手を引っ張る。
「ちょっと、待って!嫌よ、こんな格好で、外に出られないわ!」
そう言って抵抗する絢奈を、美帆はどこにそんな力があるのかと思うほど強い力で引っ張り、とうとう更衣室の外に連れ出した。