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磯崎恵利子 15歳の受難
【レイプ 官能小説】

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傷痕の記憶 ☆-1


 石崎佑香を“ストーカー”の凶行より庇った際に受けた深い刺し傷。

その傷は18年の時を経てすでに癒え、傷痕のみを残すだけとなっている。
大量の出血から一時はその命さえ危ぶまれたが、幸い臓器に深い損傷を受ける事も無く今に至っている。


そう言えば同じ様な事が子供の時にも……
千章は古傷の記憶を顧みながら、幼き頃の記憶にも想いを馳せる。


1976年
千章流行…… 自宅、千章邸にて

「流行、正しき事は良い事ですが、このような無茶な事はおよしなさい」
そう流行の母は、幼き息子の心情を考慮しつつその身を案じたしなめる。

「……」
しかし幼いながらも礼儀正しいはずの男児は、その母親の言葉に沈黙を持って答える。

「流行、母はあなたが心配なのです」
再び母親は愛息の心に語りかける。


 数時間前

見知らぬ初老の紳士に抱えられた息子が帰宅する。
その様子に母親は、一瞬我が目を疑う。

普段争い事を好まぬ我が子が、ボロ雑巾の様になって帰宅したからだ。
それはまさに取っ組み合いの喧嘩を通り越した様相を呈していた。
身体中擦り傷だらけで服は破れ、皮膚表面には所々軽い内出血すら見られる。

取り乱しつつも冷静を装い、老紳士に礼を述べた上で伺いをたてる母親。
愛息を救ってくれた老紳士も最初からその場に居合わせた訳では無く、事態の詳細まで語られ無かったが“称賛に値する行為”であるとだけ述べその場を後にしていった。

 手当をしながら事の次第を問いただす母親に、息子は事の事実のみを簡潔に伝える。
上級生数人を相手に喧嘩をした。理由は困っている少女を助ける為である。

言葉少なで当然理解には苦しむが、少なくても目撃した第三者が“称賛”するのであるから誇らしい事であると思いたい。
しかし息子の身を案じ、再び母はたしなめる。

「とにかく…… もう同じ様な無茶はおよしなさい」

「だって、だって女の子が泣いてたんだ。困って泣いていたんだ。助けなくちゃいけないんだ…… 僕は、僕は…… 何度でも……」
沈黙を守っていた息子が、いつになく感情的な表情を見せ母に食い下がる。

そこで千章の記憶は途絶える。
その後、母とどの様なやり取りがあったのかさえ思い出せない。


“正義感?”が在ったはずの幼少時代。
そして想いを寄せていた少女を守った自分。

しかし今ここに在るのは、卑劣極まりない自分。
そのギャップに千章流行は、再び苦笑し自身の行いを顧みるのである。

その意識下にあるのは、自分自身でも思い起こす事の出来ぬ積み重ねられた遠い過去の記憶。


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