同じ名前の彼女C-1
X'masムード一色になった街。そんな中、俺の隣には彼女がいた。普段、学校でしか一緒にいない彼女となぜ街にいたかと言うと彼女が帰ろうとする俺を半ば無理矢理、街まで来させたからだ。『あったあった!』彼女はとある高級ブランド店を指さした。『買わせる気?』と聞いてみたら『まさか。ウチが買うん。』と彼女は呆れ顔で言った。『買ってくれんの?』と聞くと『アホ!』と彼女は俺の腕を引き店内へ入って行った。『誰に?』と聞くと『好きな人に。』と彼女は少し寂しそうに答えた。また、いつものように胸が締め付けられる感覚に襲われた。この頃には既に俺は自分の気持ちに気づいていた。俺は彼女を好きだったんだ。
俺は店内を見回しX'mas限定のピアスを見つけた。男女共に使えそうなデザインのそれを見ていたら店員が来て『彼女にプレゼントですか?』と聞いてきた。いいえと言ったが店員は引き下がらず『彼女によく似合いそうですよ。』と彼女を見ながら言った。俺はそんな店員の口車に乗せられそれを買ってしまった。『なんや?買うたの?』と彼女は買い物を済ませファミレスで食事をしてる時に聞いてきた。『あぁ…やるよ。』とぎこちなくそれを渡すと彼女は俺の言葉を理解してないようで目を丸くしていた。『おおきに。』彼女は数秒後、言葉の意味を理解したらしく笑顔で言った。『ウチも…。』と彼女から先ほどの店の紙袋を渡された。一瞬、"好きな人"が自分なのかと舞い上がりそうになったが店を出た時に彼女が持っていたたくさんの紙袋を俺に持たせたのを思い出した。『好きな人が多いみたいだね?』とプレゼントの包みを開けながら聞くと『ぎょうさんおるよ。悠も好きやで。』笑顔で言う彼女に少し照れながらも『それ全部、俺へ?』と笑いながらプレゼントの箱を開けるとそこにはストラップがあった。『悠にはストラップだけや。ちなみに加藤に
も同じの買うた』と彼女は言った。『それじゃ俺と加藤が付き合ってるみたいだな。後のプレゼントは?』と笑いながら聞くと『親父…。毎年買うてんやけど、結局渡されへんから家にぎょうさん溜まっとる。』と彼女は"好きな人"と答えた時のように寂しそうに言った。『もったいないね。』そう言うと『ええの。自己満やから。』と言い俺からのプレゼントを開け始めた。
『ピアス!おおきに!』そう言い彼女は嬉しそうにピアスをつけ始めた。片方をつけた時、彼女は『悠も開いとるよね?』と聞いてきた。『もう閉じてるかも。』と答えると片方のピアスが残された箱を差し出し『つけて。』と言った。俺のピアスホールは未だ健在でピアスをつけた俺に『ペアやな!』と彼女は笑いながら言った。その時、照れたのと同時に嬉しくなったのを覚えている。
帰り道、彼女が手を繋いできた。俺の心臓は彼女にも聞こえるんじゃないかというぐらい大きな音で鳴っていただろう。冬の空はとても近くにあった。(続く)